ジェルミニーラセルトゥー(読み)じぇるみにーらせるとぅー(その他表記)Germinie Lacerteux

デジタル大辞泉 の解説

ジェルミニー‐ラセルトゥー(〈フランス〉Germinie Lacerteux)

ゴンクール兄弟小説。1865年刊。兄弟の家にいた実在女中モデルに、女主人に献身的に仕えながらも性悪な男に貢いで転落していく女中の姿を冷徹な筆致で描き、自然主義小説の先駆となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ジェルミニー・ラセルトゥー
じぇるみにーらせるとぅー
Germinie Lacerteux

フランスの作家ゴンクール兄弟長編小説。1865年刊。自家の実在の女中がモデル。この女中は、老嬢の女主人に忠実に仕えながら、外泊しては酷薄な恋人に自分の財産から主人の金品までも貢ぎ、捨てられるのを恐れて借金までしたあげく、身心ともにぼろきれのようになって死ぬ。記録と観察に基づき、下層階級の現実生活、とくに病的な「愛欲の臨床記録」を描く手法自然主義文学嚆矢(こうし)とされ、ゾラに強い影響を与えた。

[齋藤一郎]

『大西克和訳『ヂェルミニイ・ラセルトゥ』(岩波文庫)』

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世界大百科事典(旧版)内のジェルミニーラセルトゥーの言及

【ゴンクール兄弟】より

…彼らは,小説から作りもの的要素を除こうとし,身近な実在人物から取材したり,また時代の風潮を敏感に察して,下層階級から主人公を選んだ。自家の女中をモデルにして,その悲惨な生活を描いた《ジェルミニー・ラセルトゥー》(1865)は自然主義文学の先駆的作品である。そのほかブルジョア社会を描いた《ルネ・モープラン》(1864)などで作家としての地位を確立し,弟の死後は,エドモンが単独で《娼婦エリザ》(1877)などを発表した。…

※「ジェルミニーラセルトゥー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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