ステロール(読み)すてろーる(英語表記)sterol

翻訳|sterol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステロール」の意味・わかりやすい解説

ステロール
すてろーる
sterol

ステリンともよばれる。ステロイド一種で、なかでも代表的なものである。シクロペンタノヒドロフェナントレン環(ステロイド骨格)をもつアルコール総称。自然界にみいだされるステロールは、二重結合の位置や側鎖の種類などがすこしずつ異なったものの混合物で、通常、炭素数27から30である。動植物界に広く存在し、高等動物では、脳神経細胞などの脂質中に遊離しているかあるいはエステルなどの誘導体として存在し、構造形成にあずかっているほか、他のステロイドの生合成の前駆体として種々の代謝に関係している。代表的な例としてはコレステロール(C27)、エルゴステロール(C28)などがあり、前者はビタミンD、ホルモン胆汁酸などの合成の中間体になっている。後者は、シイタケなどの菌類酵母に含まれ、紫外線照射によりビタミンDの前駆体になる。

[飯島道子]

『菅野道広・今泉勝己著『コレステロール』(1986・三共出版)』『日本生化学会編『新 生化学実験講座4 脂質1 中性脂質とリポタンパク質』(1993・東京化学同人)』『宮沢陽夫・藤野泰郎編著『脂質・酸化脂肪分析法入門』(2000・学会出版センター)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステロール」の意味・わかりやすい解説

ステロール
sterol

ステリンともいう。動植物界に広く存在するステロイドアルコールの総称。一般に無色結晶で水に溶けにくく,有機溶媒可溶。リーベルマン=ブルヒアルト反応 (→リーベルマン反応 ) のような特有の呈色反応を示す。天然ステロールは3位にβ-水酸基をもち,遊離状態,脂肪酸エステルや配糖体の形で存在している。代表的なものとして,動物体のコレステロール,植物体のシトステロール,菌類のエルゴステロールなどがある。これらのステロールは生体膜の構成成分として重要な役割をもつものと考えられる。ステロイドホルモン系化合物の合成原料として使用される。

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