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分子化合物 ぶんしかごうぶつmolecular compound

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

分子化合物
ぶんしかごうぶつ
molecular compound

広義には高次化合物に同じ。すなわち単独でも安定に存在することのできる分子の間でさらに結合を生じて形成される化合物。たとえば水素結合によって生じるギ酸やフッ化水素の二量体,配位結合による錯化合物,複塩,結晶水を含む化合物などがある。狭義には電子供与体と電子受容体の結合によって生じる電荷移動錯体 (分子錯体) のこと。電子供与体としては芳香族化合物,二重結合をもつ不飽和化合物,非共有電子対をもつアルコールや窒素を含む有機化合物などがあり,電子受容体としてはハロゲン分子,ヨードホルムやクロロホルムのような有機ハロゲン化物などがある。電子供与体と電子受容体から分子化合物を生じる結合力の原因は R.S.マリケンの理論によれば,両者の間に働く弱い分子間力と,電子供与体から電子受容体への電子の移動 (電荷移動) によって生じる共有結合と,さらに電子移動の結果,相対的に電子供与体に電子不足を生じて正電荷を,電子受容体に電子過剰を生じて負電荷をもつことにより形成される一種のイオン結合の3種の結合力によると説明される。たとえばヨウ素は元来赤紫色であるが,そのベンゼン溶液が褐色を示すのはヨウ素とベンゼンの間で分子化合物 (電荷移動錯体) を生じるためである。

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百科事典マイペディアの解説

分子化合物【ぶんしかごうぶつ】

分子間化合物,分子錯体とも。一つの分子と他の分子とがさらに結合してできる化合物。一般に高次化合物とも呼ばれる。クラスレート化合物のような付加化合物水和物などもこれに含められることが多い。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶんしかごうぶつ【分子化合物 molecular compound】

異なる分子が一定の分子数比で付加して生じる化合物で,分子間化合物ともいう。多くの場合に成分分子とは異なる性質を示す。広い意味では,CaCl2・4CH3OH,C6H5CH3・SbCl3や種々のクラスレート化合物なども含めるが,最も重要なのは電荷移動錯体と称される一群の化合物で,普通に分子化合物という場合はこの一群を指す。古くから知られている例はキンヒドロン(p‐ベンゾキノンとハイドロキノンの1:1の化合物)やナフタレンアントラセンなど多環式芳香族化合物とピクリン酸の間に生じるピクレートなどである。

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大辞林 第三版の解説

ぶんしかごうぶつ【分子化合物】

単独でも安定な二種以上の分子がその組成を変えずに直接結合してできた化合物で、比較的容易にもとの成分に分解できるもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

分子化合物
ぶんしかごうぶつ
molecular compound

古典的化学結合論によってはそれぞれ単独に分子として考えられる2種以上の化合物あるいは単体が一定の組成比で複合し、一つの化合物となるものの総称。化学結合論の発展にしたがってそれらの分子間の相互作用、結合様式が明らかになるにつれて、水和物を含む溶媒和物、錯体、分子錯体、電荷移動錯体、包接化合物などに分類されるようになった。狭義の分子化合物は分子間化合物intermolecular compoundともよばれるが、分子間にはファン・デル・ワールス力あるいは水素結合力などが作用していることが多い。導電性有機化合物や機能性材料として、特殊な性質をもつ分子を組み合わせた分子化合物の設計合成も行われている。[岩本振武]

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