ジャマール=ザーデ(読み)じゃまーるざーで(英語表記)Muammad‘Alī Jamāl-zāde

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャマール=ザーデ」の意味・わかりやすい解説

ジャマール=ザーデ
Jamāl-Zāde, Sayyid Muḥammad `Alī

[生]1892. イランイスファハン
[没]1997.11.8. スイス,ジュネーブ
イランの小説家。イスラム教の聖職者で立憲革命時代の著名な運動家の子として生まれた。レバノンベイルート初等中等教育を受け,ローザンヌ大学を経てディジョン大学で法律の学位を得た。 1915年イランに戻り,その後ドイツに移った。ドイツでイランの反政府運動に参加,一方で『カーベ』誌に作品を発表。短編集『むかしむかし』 Yekībūd yekīna-būd (1921/1922) は文体と内容の両面から現代ペルシア散文学に多大な影響を与えたが,風刺的で辛らつな体制批判の内容が保守層の反感を買いその後 20年間沈黙を余儀なくされた。 1931~56年ジュネーブの国際労働機関 ILOに勤めた。ほかに長編小説『精神病院』 Dār al-majānīn (1942) ,『水道物語』 Rāhe-āb nāme (1948) ,短編集『古さと新しさ』 Kohne o nou (1959) など俗語を駆使した社会批判の作品が多数ある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャマール=ザーデ」の意味・わかりやすい解説

ジャマール・ザーデ
じゃまーるざーで
Muammad‘Alī Jamāl-zāde
(1896―1997)

イランの小説家。立憲革命時代の著名な説教師を父にイスファハーンに生まれる。ベイルートで中等教育、スイス、フランス高等教育を受ける。1931年以降ジュネーブに居を定めた。現代ペルシア散文、短編小説の先駆者と評される。1921年ベルリンで刊行した短編小説集『むかしむかし』で文壇に登場。俗語を豊富に駆使して文学の大衆化に努めた。レザー・シャー独裁体制下の20年間は沈黙を守り、1942年以降精力的な執筆活動に入り、長編小説『精神病院』(1942)、『復活の荒野』(1947)、『水道物語』(1948)のほか、多くの短編小説集を刊行した。

[黒柳恒男]

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