スカッシュ(読み)すかっしゅ(英語表記)squash

翻訳|squash

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカッシュ」の意味・わかりやすい解説

スカッシュ
すかっしゅ
squash

テニスと、四方を壁で囲まれたコートで行うウォールアイリッシュハンドボールを組み合わせたスポーツで、スカッシュ・ラケッツsquash racquetsとスカッシュ・テニスsquash tennisとがあるが、単にスカッシュといえば前者をさす。年代的には、18世紀にイギリスの刑務所内でコートテニスローンテニス前身)の愛好者たちが考案したといわれているラケッツracquetsが、19世紀になってからイギリスの学校に普及し、ラケッツからスカッシュ・ラケッツが生まれ、これがアメリカに渡ってスカッシュ・テニスを生み、1950年代になって同じアメリカでラケットボールracquetballが考案された。これらのスポーツは、コートの大きさ、ボールの大きさ、重さなどに違いはあるが、テニスのように中央にネットはなく、壁に囲まれたコートで、壁に対してボールを打ち合うという点で共通している。なお、スカッシュとは押しつぶされるという意味で、ゴムの中空ボールが壁に強く当たるときに押しつぶされるような音がすることから、これがそのまま競技の名称になった。

 スカッシュ・ラケッツは1850年ごろイギリスのハロー校の学生たちがラケッツのコート不足を不満として考案したものなので、コートの大きさも、ラケッツの60フィート(18.29メートル)×30フィート(9.14メートル)から、32フィート(9.80メートル)×21フィート(約6.40メートル)と狭くなっている。ラケットバドミントンのそれとほぼ同じ大きさで、ボールの大きさは直径4.45センチメートル、重さは28.35グラム。コートは四方と天井が壁で、互いにボールを壁に打ち合うが、シングルスダブルスがある。1ゲームは15ポイントで、イギリスの規則サーバーだけが得点するが、アメリカの規則ではレシーバーも得点できる。スカッシュ・テニスはスカッシュ・ラケッツと同じコートで、ローンテニスとほぼ同じラケットとボールを使用して行うが、現在はニューヨークなどの限られた地域でのみ行われている。

 ラケットボールは、フォーウォール(四面が壁)のハンドボールコートをそのまま使い、コート、ボールともスカッシュ・ラケットよりすこし大きい。1ゲームは21点先取で決まり、サーバーのみが得点する。近年アメリカで急激に競技人口が増加しており、日本でも行われるようになった。

[大谷要三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカッシュ」の意味・わかりやすい解説

スカッシュ
squash rackests

コートの壁面を利用して行なう,テニスに似た球技。 19世紀中頃イギリスのハロー・スクールで考案されたといわれる。ラケッツと呼ばれる球技から派生したもので,1920年代に盛んに行なわれた。 1967年に国際スカッシュラケッツ連盟 ISRFが発足,1992年世界スカッシュ連盟 WSFに改称した。競技では,丸い枠にガットを張った打撃面と細長い柄をもつスカッシュラケットを使い,弾力の少ない小さなゴムボールを2人 (シングルス) または4人 (ダブルス) で打ち合う。ネットはなく,四方を壁で囲まれた室内コートで行なわれ,床面あるいは壁面からはね返ってくるボールを打ち返して得点を競う。ルール,用具,コートの規格などは国によって異なる。

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