キュラソー(読み)きゅらそー(英語表記)curaçao フランス語

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キュラソー」の意味・わかりやすい解説

キュラソー
Land Curaçao

ベネズエラ北西岸沖約 60kmのカリブ海にある小アンティル諸島の島。オランダ自治領。首都ウィレムスタト。かつてオランダ領アンティルの主島であったが,2010年10月のオランダ領アンティル解体に伴い単独でオランダの自治領となった。サンゴ礁に囲まれた細長い島で,低い丘陵があり,最高点は北西部の 375m。年降水量約 500mmで,乾燥し,植生に乏しい。1527年スペイン人が入植したが,1634年オランダ人が占領。以後 19世紀初頭一時イギリスに占領されたほかはオランダ領。18世紀貿易で繁栄,19世紀にはキュラソー用のオレンジ,医薬品用のアロエの栽培が盛んに行なわれたが,経済は全般に衰退。20世紀に入ってベネズエラの油田開発に伴って石油産業が興り,発展し始めた。1918年アメリカ合衆国資本による大規模な製油所がウィレムスタト郊外で操業開始。1985年これを自治政府が買い上げて運営。石油および石油製品が重要な輸出品となっている。観光業も盛ん。面積 444km2(クライン島の 1.7km2を含む)。人口 14万3000(2011推計)。

キュラソー
curaçao

アルコールにオレンジの果皮を漬けて熟成させた甘い混成酒。リキュール酒の一つで,カリブ海のキュラソー島で造られたのでこの名がある。緑,赤などの色をつけ,カクテル用にされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キュラソー」の意味・わかりやすい解説

キュラソー
きゅらそー
curaçao フランス語

オレンジの香りのするリキュール。南アメリカのベネズエラに近いキュラソー島に産するキュラソーオレンジを原料とするのでこの名がある。現在はスペイン産のセビルオレンジがおもに使われる。

 製法は、スピリッツにオレンジの皮、チョウジシナモンなどの香辛料を加え、2日間放置したのち蒸留してキュラソーのエッセンスを採取する。これをブランデーキルシュワッサーに添加し、砂糖を加えて製品とする。そのほか直接浸出法も行われる。キュラソーはカクテル用に需要が多く、ホワイト、オレンジ、ブルー、グリーン、レッドキュラソーがある。このうち、オレンジキュラソーが一般的で、アルコール分約30%、甘さが強く、褐色をしており、食前酒や食後酒として飲まれる。ホワイトキュラソーはオレンジに比べてやや辛口で、無色、味は淡泊で、ストレートでも飲まれる。トリプルセックはホワイトキュラソーに似ているが、アルコール分が約40%と高い。これらのなかにはフランス産のコアントローなどの有名なものもある。

[原 昌道]

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