トーナメント

デジタル大辞泉 「トーナメント」の意味・読み・例文・類語

トーナメント(tournament)

試合競技で、敗者を除いていき、勝者どうしが戦い抜いて優勝を決める試合方式。勝ち残り式試合方法。勝ち抜き試合。→リーグ戦
中世ヨーロッパ騎士の馬上試合。二組に分かれた騎士が甲冑をつけて馬に乗り、勝ち抜き式で行われた。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「トーナメント」の意味・読み・例文・類語

トーナメント

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] tournament ) 勝ち抜き戦の一種。参加選手・チームの各二者組み合わせて一回戦を行ない、さらにその勝者同士二者の組み合わせで二回戦を行なうというようにして、勝者だけで順次試合を進め、最後まで勝ち残った二者が優勝決定戦を行なう方式。参加選手・チームが総当たりになるリーグ戦に対していう。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「トーナメント」の意味・わかりやすい解説

トーナメント

試合形式の一つ。勝ち抜き戦。総当たりで行われるリーグ戦に比べて,試合数が少なくて済む。しかし,優勝候補同士が最初に対戦するという不公平も生ずるので,それを補正する意味で,シード制や敗者復活戦などが採用されている。また,1位2位が決まるだけで,それ以外の順位はつかない。 トーナメントの語源は,ヨーロッパ中世の騎士たちの間で盛んに行われていた馬上槍(やり)試合。11世紀中ごろにフランスで始まった。甲冑(かっちゅう)で身を固めた大勢の騎士たちが二手に分かれて対陣し,一斉に突進し,相手を槍で突き落とす。残った者がさらに対陣して,これを繰り返す,いわゆる勝ち残り戦である。この形式が,今日のトーナメントという試合形式のヒントとなった。 馬上槍試合は,初めは,王侯・貴族の祝賀行事(王子の誕生,結婚など)の一つとして行われた。のちには,興行として行われるようになり,勝てば相手の甲冑を腕づくで奪い取ることができ,それを売って金品に代えるプロが現れ,次第に衰退していった。15世紀には,特定の貴婦人への愛を誓って闘う,一人対一人の馬上槍試合ジューストjoustが流行した。しかし,死傷者も続出したので,のちに,それを防止する方法が取られるようになった。たとえば,槍の穂先を丸くしたり,固定した標的を槍で突く競技に変えたりなど。こうした騎士たちの戦闘精神や純愛や犠牲的精神がナイトシップknightshipとして尊重され,やがて,ジェントルマンシップgentlemanshipやスポーツマンシップsportsmanshipへと継承されていった。
→関連項目騎士

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「トーナメント」の意味・わかりやすい解説

トーナメント
tournament

ヨーロッパ中世の騎士による馬上試合。11世紀中ごろフランスで始まり,初期にはおおぜいの騎士が2組に分かれて争うメレmêléeだったが,やがて1対1で長槍を使って相手を馬から落とすジョーストjoustという方法が生まれ,15世紀には領主や貴婦人の見物するなかを,試合専用のりっぱな甲冑を身につけて闘った。剣や槍の先は丸くして危険を防いだが,死傷者の出ることも多かった。このほか,固定した標的を槍でつく競技にクインティンquintainと呼ばれるものがあり,これは庶民のあいだでも盛んに行われた。

 現代のスポーツでは,トーナメントは勝抜き戦によって優勝者を決める競技方法をさす。1回戦の勝者が2回戦へ進出,その勝者が次の回へ進み,最後の勝者が優勝者となるもので,テニスやゴルフ(マッチ・プレー)の試合でしばしば採用される。参加者が総当りするリーグ戦にくらべ試合総数が少なくてすむが,1,2位以外は順位がつかない。強い者同士が早い回で当たらないようにシード法seedを導入することが多い。これは強い者にあらかじめ順番をつけ,意図的に分散して配置する方法である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トーナメント」の意味・わかりやすい解説

トーナメント
とーなめんと
tournament

競技方式の一種で、最後まで勝ち残った者を優勝者とする勝ち残り式試合のことをいう。そのおこりは、二組に分かれて攻撃しあい相手を落馬させ、その落馬した数が少ない組を勝ちとした、11世紀のフランスにおけるトルノワtournoiともよばれる騎士の馬上試合であるが、それが転じて試合、勝負を意味し、さらに競技方式を示すようになった。トーナメントは、試合が行われるにつれ試合数が少なくなるため、参加者が多い場合でも比較的短期間に成績を決められるという長所をもつが、勝ち抜き戦であるために、敗者は一度敗れると他と対戦する機会を失うという短所ももつ。このようなトーナメントの短所を補うために、一般には強い者同士が最初から対戦しないようにシード制を用いたり、総当たり試合であるリーグ戦の長所を取り入れた、「トーナメント・リーグ結合型」の方式を採用したりする。この方式には次の二つがある。一つは、参加者を数グループに分けて各グループでリーグ戦をしたあとに、おのおののグループの勝者がトーナメント戦を行う方式であり、他の一つは、最初にトーナメント戦で参加者を減らし、その後リーグ戦を行う方式である。

[犬馬場紀子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トーナメント」の意味・わかりやすい解説

トーナメント
tournament

勝ち抜き形式の試合方法。対戦の組合せは一般に抽選で決めるが,2回戦以後は勝者同士で対戦していき,最後まで勝ち残った2者で優勝を競う。トーナメントが勝ち抜き試合方式という用語となったのは 20世紀初頭からで,もとは 11世紀中頃フランスに興り,中世ヨーロッパで盛んに行われた騎士の馬上競技をさした。これは,相手側を攻撃して落馬させる競技で,1人でも多く勝ち残ったチームを勝ちとし,勝ったほうは負けたほうから甲冑と馬を戦利品として取ったうえ贖償 (しょくしょう) 金を請求するならわしであったが,15世紀頃には1騎ずつで長やりを用い,領主や貴婦人の前で行われる競技 (ジュースト joust) となった。しかし一般には,ジューストをもトーナメントと呼んでいる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「トーナメント」の解説

トーナメント
tournament

中世ヨーロッパで行われた騎士の馬上試合
騎士道の象徴の1つで,長槍による1対1のジョーストという方法が一般的。各騎士は尊敬する貴婦人の名をかかげて争った。現代のスポーツでは勝抜き戦による競技方法の意。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のトーナメントの言及

【騎士道】より

…勇猛,むしろ凶暴は騎士の本質であった。騎士道絵巻のひとこまとして想起される野試合(トーナメント)にしても,武技を鍛え勇猛心を鼓舞すると同時に,敵手の乗馬や武具を奪うための,悽惨な遊戯,実戦の代用であった。殺害を直接目的とはしなかったものの,死傷者続出は避けられなかった。…

【スポーツ】より


[概念]
 スポーツとは,競争を中心とする〈近代スポーツ〉,楽しさを中心とする〈ニュー・スポーツ〉,民族的なアイデンティティや儀礼を中心とする〈民族スポーツ〉,癒しや瞑想を中心とする〈瞑想系身体技法〉,健康を志向する〈体操・ダンス〉,自然との接点を求める〈野外スポーツ〉などの総称である。 近代スポーツには,サッカーや野球のようなボールゲーム,走・跳・投の陸上競技,剣道や柔道のような格闘競技,スキーやスケートのような氷雪上の競技,競泳や飛び込みのような水上競技,競馬やドッグレースのような動物のスポーツ,ヨットやボートのような舟のスポーツ,自転車や自動車のような車のスポーツ,ボールルーム・ダンスを中心とする競技ダンス,などが含まれている。…

※「トーナメント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android