日本大百科全書(ニッポニカ) 「スキンダイビング」の意味・わかりやすい解説
スキンダイビング
すきんだいびんぐ
skin diving
free diving
スポーツダイビングとしてスキューバなどの呼吸器具を使わずに、息をこらえ潜水(ダイビング)をすること。素潜(すもぐ)りともいう。これに対して、スキューバを使用するものをスキューバダイビングという。息こらえ能力によって潜水時間は30秒から2分くらいと個人差が大きいが、事前に深呼吸を数回繰り返す、水中で落ち着いて行動する、潜水の間隔を2分間はあけるなどの訓練を積むことにより、息こらえ時間を2分近くに延ばすことができる。また水深3メートルくらいから鼓膜に痛みを感ずるが、これは水圧によって鼓膜が気圧の低い中耳側へ押されるためで、鼻をつまんで息を吹く、つばを飲む、あごを動かすなどの動作(耳抜き)を行うことにより、中耳へ通ずる耳管が開き中耳の中の気圧が水圧と均圧され、痛みは消える。なお、息を我慢していることにより体内で酸素欠乏がおこり失神(ブラックアウト)の危険性もある。
息こらえ潜水の歴史では、水深80メートルからアンカーを引き上げた記録もあるが、2012年5月の時点での世界記録は、2011年10月にクロアチア人のゴーラン・コラックGoran Colak(1983― )がイタリアで達成した、水深273メートルである。
初歩的なスキンダイビングでは、とくに用具を必要としないが、シュノーケル、潜水マスク、フィン(足ひれ)、ウェイトベルト、ウェットスーツなどを用いることにより、シーズンを通して楽しむことができる。スキューバダイビングのトレーニングにも役だつ。このように、水深10メートル以浅を1~2分間繰り返し潜水して、海中景観を楽しむなど、スポーツとして楽しむ人々も増えている。とくに海中景観の優れた南日本のサンゴ礁では、シュノーケル、フィン、潜水マスクなど用具も手軽なスキンダイビングは、シュノーケリングschnorkelingともよばれ、愛好者が多い。
[山田 稔]