スクーナー(読み)すくーなー(英語表記)schooner

翻訳|schooner

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクーナー」の意味・わかりやすい解説

スクーナー
すくーなー
schooner

帆船の型の一種。1713年、アメリカ、マサチューセッツ州グローセスターのアンドリュー・ロビンソンが初めて建造した。試運転のとき、観客の1人が「あの船はなんてスクーンscoon(水面すれすれに投げた石が滑り飛ぶこと)するんだ!」と叫んだことからこの名が生まれた。2本またはそれ以上のマストに、いずれも縦帆を張って、原型ではフォア・マストにだけトップスルという横帆を張ったが、のちには縦帆のみの型に変化した。前者をトップスル・スクーナー、後者を単にスクーナーとよび、3本マスト、4本マストなどがあり、アメリカのトマス・W・ローソン号(排水量7500トン、乗員27名)などは7本マストであった。横帆船よりは少人数で帆の操縦ができたし、風上へ切り上げやすかった。ニューファンドランド沖の漁船や、アメリカ沿岸貿易に多く使われた。帆船黄金時代の19世紀には快走競争にも参加して、アメリカを代表して成果をあげた。

[茂在寅男]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スクーナー」の意味・わかりやすい解説

スクーナー
schooner

2本以上の帆柱立て,そのすべてに縦帆を展張する帆船で,帆装形式によって船の呼称細分化された 18世紀以後アメリカで発達した。縦帆船のため逆風時の帆走性能がよく,操縦も容易で,少い乗組みで運航できる特徴から,100t程度の2檣 (しょう) 形式が近距離輸送や漁業に主用された。しかしその経済性の高さが大型商船の分野でも評価され,アメリカの『ローソン』号のように,7本マストの 5000tの船も出現して,帆船時代の末期に活躍した。今日では大型ヨットとして愛用されている。

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