スコロド石(読み)すころどせき(英語表記)scorodite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スコロド石」の意味・わかりやすい解説

スコロド石
すころどせき
scorodite

硫砒(りゅうひ)鉄鉱砒鉄鉱などの酸化分解によって生成される二次鉱物の一つ。これらを含む各種金属鉱床の酸化帯中に産する。パラスコロド石parascoroditeと同質異像関係にある。自形は両錐形(りょうすいけい)に発達するが自形結晶はまれで、多くは土状、皮膜状、粒状、鍾乳(しょうにゅう)状である。日本では、大分県宇目(うめ)町(現、佐伯(さいき)市宇目)の木浦(きうら)鉱山閉山)において良晶を産したがまれ。少量は各所にみいだされる。加熱によって出るヒ素化合物のにおいが、ネギのにおいと似るところから、葱臭石(そうしゅうせき)の名もある。命名はギリシア語の「ネギのような」を意味するスコロディオンに由来する。

加藤 昭 2017年8月21日]


スコロド石(データノート)
すころどせきでーたのーと

スコロド石
英名scorodite
化学式Fe3+[AsO4]・2H2O
少量成分Al
結晶系斜方(直方
硬度3.5~4
比重3.28
灰緑~濃灰緑
光沢ガラス~土状
条痕白~淡緑
劈開無(「劈開」の項目参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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