日本大百科全書(ニッポニカ) 「スシュルタ」の意味・わかりやすい解説
スシュルタ
すしゅるた
Suśruta
古代インドの外科医。インド医学(アーユルベーダ)に関する大部の概説書『スシュルタ・サンヒター』の編者として、『チャラカ・サンヒター』の編者チャラカとともに広くその名を知られる。時代的にはチャラカよりもすこし後代に属し、紀元後2~3世紀の人とみられる。叙事詩『マハーバーラタ』では聖仙ビシュバーミトラの息子とする。スシュルタの医学書は全6章からなり、病理学、解剖学・胎生学、治療学、毒物学などを扱う(眼病などを扱う最後の章は後世の付加)が、伝説上の名外科医ダヌバンタリの権化(ごんげ)と覚しきベナレスの王、ディボーダーサを師と仰いで、とくに外科医学を詳細に論じているところに本書の特徴がある。
[矢島道彦]
『ヴィンテルニッツ著、中野義照訳『インド文献史第6巻 インドの学術書』(1973・日本印度学会)』▽『大地原誠玄訳、矢野道雄校訂『スシュルタ本集』2巻・索引1巻(1993、1994・谷口書店)』