スズカケソウ(読み)すずかけそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スズカケソウ」の意味・わかりやすい解説

スズカケソウ
すずかけそう / 鈴懸草
[学] Veronicastrum villosulum (Miq.) Yamaz.

ゴマノハグサ科(APG分類:オオバコ科)の多年草。茎は斜上して長さ1~1.5メートル、先端は垂れ下がり、地について新苗ができる。葉は互生し、卵形で先はとがり長さ約10センチメートル、茎とともに長い軟毛が密生する。8月ころ、葉腋(ようえき)に球形の花序をつけ、濃紫色の花を房状に開く。花冠は筒状で先は四裂し、雄しべ2本は花外に長く突き出す。蒴果(さくか)は卵円形で、ごく小さい種子が10個ほどある。中国大陸南部の林中に自生し、日本では岐阜県大垣市と徳島県つるぎ町に自生地がみつかっているが、江戸時代に栽培された古い園芸植物であり、自生かどうか疑わしい。中国では薬用とする。名は、球状の花序が山伏の衣の鈴懸に似ることによる。

[久保多恵子 2021年8月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スズカケソウ」の意味・わかりやすい解説

スズカケソウ(鈴懸草)
スズカケソウ
Botryopleuron villosulum

ゴマノハグサ科の多年草。江戸時代に園芸植物として栽培されていたが,現在ではあまり見かけない。岐阜県下に自生状態で発見されているが,本来の野生か否かは不明とされる。タケ林などの日陰に生える。茎はつる状で,長さ 2mに達する。茎の先端が土に接すると不定根を出し,栄養体生殖でふえる。葉は長卵形で鋸歯があり,葉と茎に密に褐色の軟毛がある。夏に,葉の脇に球形の花序をなして濃紫色の小花を多数つける。果実は 蒴果となる。和名は球形の花序の連なった形を山伏の鈴懸に見立てたもの。同属近縁のトラノオスズカケ B. axillareは西日本の暖地に自生し,全体に毛がないことと,花穂が球形でなく長い点で区別される。

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