スタインバーグ(読み)すたいんばーぐ(英語表記)Saul Steinberg

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタインバーグ」の意味・わかりやすい解説

スタインバーグ(Saul Steinberg)
すたいんばーぐ
Saul Steinberg
(1914―1999)

ルーマニア出身、アメリカのイラストレーターブカレスト大学哲学を修めたのち、建築家を志して1933年にミラノへ出た。40年まで建築を学ぶかたわら、イラストレーターとしても頭角を現し、42年アメリカへ渡ってからは『ニューヨーカー誌上活躍した。46年ニューヨーク近代美術館における発表を皮切りに世界各地で個展が開かれ、また作品集として『オール・イン・ア・ライン』(1946)、『パスポート』(1954)、『ラビリンス』(1960)などが相次いで出版された。卓抜なデッサン力を武器にして自在に線描を走らせるのだが、ユーモラスな画面のなかにはいつも鋭い文明批評が含まれている。線描を文字や写真と合成させる手法などには、キュビスム以来の斬新(ざんしん)な視覚の形式と見合うものがある。78年にはニューヨークホイットニー美術館で大規模な回顧展が開かれた。代表作に『9番街からみた世界の眺め』(1975)などがある。

[高見堅志郎]

『スタインバーグ絵、瀧口修造文『新しい世界』(1970・みすず書房)』


スタインバーグ(William Steinberg)
すたいんばーぐ
William Steinberg
(1899―1978)

ドイツ出身のアメリカの指揮者。生地ケルンアーベントロートに学ぶ。ケルン、プラハフランクフルトでオペラ指揮者を務めたあと、1936年パレスチナ交響楽団(現イスラエル・フィル)指揮者に就任。38年トスカニーニの勧めで渡米、バッファロー・フィルハーモニーを経て、52~77年ピッツバーグ交響楽団音楽監督として活躍、この楽団の水準を全米有数のものに高めた。とくに個性的な解釈は示さなかったが、オーケストラを手堅くまとめる手腕は定評があった。

[岩井宏之]

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改訂新版 世界大百科事典 「スタインバーグ」の意味・わかりやすい解説

スタインバーグ
Saul Steinberg
生没年:1914-99

アメリカのイラストレーター。ルーマニアのブカレスト近郊生れ。ブカレスト大学で社会学と心理学,ミラノ大学で建築を学び,1940年渡米。記号や映像に囲まれた現代の不条理で滑稽な現実を,軽妙鋭敏な線描で表現し,《ボーグ》《ニューヨーカー》などと契約した。第2次大戦中海軍に入り,復員後ルポルタージュ漫画集《ものみな線で》(1945)を刊行。46年ニューヨーク近代美術館,52年パリのマーグ画廊で個展を開き,その間に《生活術》(1949),《パスポート》(1954),《迷宮》(1959),《新世界》(1966)などの作品集を出し,近年は建築,映画タイトル,抽象絵画も手がけている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタインバーグ」の意味・わかりやすい解説

スタインバーグ
Steinberg, Saul

[生]1914.6.15. ルーマニア,ブザウ,ルミニクサラト
[没]1999.5.12. アメリカ,ニューヨーク,ニューヨーク
ルーマニア生れのアメリカの漫画家,挿絵画家。本名は Saul Jacobson。ブカレスト大学で文学と哲学を学んだあと,建築を学ぶためミラノにおもむき,1942年にアメリカに渡った。やがて雑誌『ニューヨーカー』のスタッフとなり,漫画家としての第一歩を踏出した。その後,アメリカ漫画界の寵児となり,広告,建築,抽象絵画などにも活動を広げるようになった。作品集には『ものみな線で』 (1945) ,『パスポート』 (54) などがある。

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百科事典マイペディア 「スタインバーグ」の意味・わかりやすい解説

スタインバーグ

米国のイラストレーター。ルーマニア出身。1941年米国の雑誌《ニューヨーカー》に漫画を寄稿して認められ,翌年からニューヨークで活躍。現代の不条理な現実を軽妙な線画で表現し,ニューヨーク近代美術館などで個展を開いた。1958年にはブリュッセル万国博覧会の米国館の壁画を制作。作品集《生活術》《パスポート》《迷宮》など。

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世界大百科事典(旧版)内のスタインバーグの言及

【ニューヨーカー】より

…都会的な洗練された雑誌といわれ,部数は約50万部(1980)とアメリカでは少ないが,短編,美術評,漫画などの部門がつねに高く評価されている。作家ではT.カポーティ,J.H.アップダイクがニューヨーカー派とみられ,漫画家ではソール・スタインバーグがこの週刊誌の出身。【常盤 新平】。…

※「スタインバーグ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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