スフとも略称される。綿花は平均2.5cm,羊毛は7.5~10cm,リネンは30~50cmの長さをもつ短繊維(ファイバー)であるにもかかわらず,人造絹糸の製造が始まってしばらくは,連続したフィラメントの絹に似せることを考えていたので,レーヨンのステープルファイバーを作ることは考えられなかった。ステープルもファイバーも繊維を意味し,長繊維のフィラメントに対応して用いられる。1920年ころからレーヨン連続糸の生産が増加し,レーヨン連続糸のくずが出はじめ,これを短く切って繊維とし,羊毛と混ぜて紡糸することが起こった。次に,レーヨン製造会社はビスコースレーヨンの連続フィラメントを切って,太さのそろったステープルファイバーを作りはじめた。イギリスのコートールズ社が1925年にビスコースレーヨンのステープルファイバーを紡糸する工場を建て操業したのが最初である。40年以後,ビスコースレーヨンはステープルファイバーの生産量が連続糸を上回る。日本では第2次大戦中,綿花や羊毛の不足を補うため,短く切った人絹糸が混紡用に用いられはじめた。合成繊維からもステープルファイバーが製造されるようになり,ナイロンステープル,ポリエステルステープルと繊維名をつけて呼ばれている。ステープルファイバーの化学組成はフィラメントと同じであるが,製造の際,たとえばビスコースステープルでは紡糸口金の数が多いことや化学的方法で巻縮をつけることが,フィラメントとは異なる。ステープルファイバーは糸にしたとき,強い光沢を示さず,ふっくらした感じを与える。
執筆者:瓜生 敏之
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略称スフ.連続した長繊維(フィラメント)を紡績などの原料にするため,カッターで適当な長さに短く切断したもの.最初はレーヨンを切断したものを意味したが,現在では各種の人造繊維の切断した短繊維に広く用いられる.繊維の長さ,太さはそれぞれ目的に応じて変わる.紡績の容易さ(可紡性),繊維相互のからみあい(抱合性),かさばりを増すために短繊維にちぢれ(けん縮,クリンプ)を付与したものが多い.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
短繊維のことをいう。スフと略称されることが多い。代表的なものはビスコースレーヨンステープルであり、その製造法は長繊維の場合と本質的には同じであるが、紡糸の際に二浴を用いる。すなわち、第一浴で凝固させた単糸を第二浴の熱水中で延伸させて再生させる、いわゆる緊張紡糸法を採用している。紡糸された糸は適当な長さに切断して短繊維にしている。キュプラのスフも製造されている。
[垣内 弘]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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[ポリアクリロニトリル系]
アクリル繊維とモダクリル繊維がある。ステープルファイバー(短繊維。スフと略)は羊毛に似た強伸度をもち,フィラメント(長繊維)は絹に似た強伸度特性を示す。…
※「ステープルファイバー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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