日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストールベルイ」の意味・わかりやすい解説
ストールベルイ
すとーるべるい
Kaarlo Juho Ståhlberg
(1865―1952)
フィンランド初代大統領(在任1919~1925)。牧師の子として生まれ、法律面の学業を修める。早くから自由主義的な青年フィン人党で活動。フィンランドの自治権を奪おうとするロシア化政策の強まるなかで、1901年新徴兵制に服しなかったことから政府書記官を解職された。1904年に議会に選出された。ロシア革命(1917)によるフィンランドの独立後、国体問題では共和制を支持。1919年マンネルヘイム将軍を破って初代大統領に当選。1918年の内戦で疲弊した国家国民の統一、共和政体の定着に尽力した。1920年にはタルト条約を結んで対ソ関係を改善し、スウェーデンが分離併合をもくろんだアハベナンマー(オーランド)諸島の保全にも成功した。しかし、歴史的にはロシア支配下にあった同系人の住む東カレリアの帰属について、かならずしも積極的な行動をとらなかったことから、強硬な反対派をつくることになり、のち1930年には極右に拉致(らち)されることになった。1925年の第2回大統領選には、政権交代による共和制促進の立場から辞退。中央政界復帰後、1931年、1937年に再出馬したが、落選した。没年まで政界の顧問、法律関係の仕事に従事した。
[玉生謙一]