スミソニアン協定(読み)すみそにあんきょうてい(英語表記)Smithsonian Agreement

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スミソニアン協定」の意味・わかりやすい解説

スミソニアン協定
すみそにあんきょうてい
Smithsonian Agreement

ニクソン・ショック後の世界経済や国際通貨体制の混乱を収拾するため、1971年12月に主要10か国(G10)の財務担当大臣・中央銀行総裁が合意した経済協定。ワシントンスミソニアン博物館で行われた会議で合意されたことから、スミソニアン協定、あるいはスミソニアン合意とよばれる。アメリカ大統領ニクソンが打ち出したアメリカ・ドルと金との交換停止を継続しながら、(1)アメリカ・ドルの金1トロイオンス(31.10グラム)に対する価値を従来の1トロイオンス=35ドルから1トロイオンス=38.02ドルへ切り下げる、(2)アメリカ・ドルに対し、主要国通貨を切上げ調整する、(3)外国為替(かわせ)の変動幅を従来の1%から2.25%に拡大する、(4)通貨危機に対し各国協調介入する、(5)アメリカの輸入課徴金即時撤廃する、などで合意することで固定為替相場制への復帰を目ざした。

 同協定により、アメリカ・ドルに対し、西ドイツ・マルクは3%強、フランス・フランは5%の切上げとなった。また、円とアメリカ・ドルの交換レートはブレトン・ウッズ体制の1ドル=360円から、1ドル=308円に変更され、円の切上げ率は16.88%となった。しかし協定成立後も、金兌換の裏づけを失ったアメリカ・ドルは不安定な状況が続き、主要通貨は相次いで通貨危機に見舞われ、1973年に主要国の通貨が全面的に変動為替相場制へ移行することで、スミソニアン協定は崩壊した。スミソニアン協定は、本質的には金ドル本位制のもとでの固定為替相場制を守ろうとする協定であった。なおスミソニアン協定に基づき、固定為替相場制への復帰を試みた国際通貨体制を「スミソニアン体制」とよぶ。

[矢野 武 2015年9月15日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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