アメリカの写真家。フィラデルフィア生まれ。1962年ペンシルベニア大学(美術専攻)を卒業後、同大学大学院に進みコミュニケーション論を専攻、64年修士課程修了。65~66年フルブライト奨学生としてトルコに滞在し写真を撮影する。以後、フリーランスのフォトジャーナリストとして『ライフ』誌、『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』The New York Times Magazine誌、『ニューヨーカー』誌、『ローリング・ストーン』Rolling Stone誌、『ボーグ』誌等に多くの作品を発表。76~81年マグナム・フォトスに所属した。ロバート・F・ケネディ賞など多くの賞を受賞、国内外で展覧会やワークショップを精力的に開催し、アメリカを代表するフォトジャーナリストとして国際的な高い評価を受けている。
マークは、社会のゆがみが生み出しているさまざまな問題について時間をかけて丁寧に取材し、社会の周縁に位置づけられている人々に共感して彼らの視線で撮影している。その姿勢は最初期の1960年代にイギリスのドラッグ問題を扱った作品からすでに見られる。またとくにこだわるのは社会的、経済的に非常に弱い立場にいる女性たちであり、彼女たちが抱える問題を当事者の視点から告発している。70年代初期にはアイルランド紛争下のカトリック側とプロテスタント側の両方を取材し、そこで生きる女性たちの姿をとらえた。また、76年にはオレゴン州立精神科病院で女性患者と2か月生活し、彼女たちの不安の深層に分け入り撮影を行い、79年に写真集『Ward 81』(共著)として発表された。79年には、15歳の少女の妊娠・出産をテーマにした『アメリカン・イメージズ』American Imagesも発表している。
しかし、彼女の名前を一躍人々に知らしめることになったのは、20年以上足繁く通っているインドを主題にした一連の作品だろう。ボンベイ(現ムンバイ)の娼婦たちと寝起きをともにして制作した『フォークランド・ロード』Falkland Road(1981)やサーカス団を取材した作品などがある。そしてマザー・テレサのカルカッタ(現コルカタ)での奉仕活動を捉えた作品は80年に『ライフ』誌に掲載され反響をよび、85年写真集『マザー・テレサと彼女のカルカッタでの奉仕活動』Mother Teresa and Her Missions in Calcuttaとして出版された。
活躍は写真にとどまらない。たとえばアメリカ・シアトルのストリート・チルドレンの生活を捉えた作品『子供たちをよろしく』Streetwise(共著。1988)はロバート・F・ケネディ賞とキヤノン・フォト・エッセイスト賞を受賞後、夫であるマーティン・ベルMartin Bell監督により映画化され、映画『子供たちをよろしく』は1985年のアカデミードキュメンタリー賞部門にノミネートされている。
1999年に出版された写真集『アメリカン・オデッセイ1963―1999』American Odyssey 1963-1999は35年におよぶ作品を集大成したもので、同名の展覧会がフィラデルフィア美術館で2000年に開催され、世界各地を巡回した。
[笠原美智子]
『笠原美智子訳『インディアン・サーカス――マリー・エレン・マーク写真集』(1993・宝島社)』▽『Passport (1974, Lustrum Press, New York)』▽『Falkland Road; Prositutes of Bombay (1981, Knopf, New York)』▽『Mother Teresa and Her Mission in Calcutta (1985, Friends of Photography, San Francisco)』▽『A Cry for Help; Stories of Homelessness and Hope (1996, Simon & Schuster, New York)』▽『Portraits (1997, Smithsonian Institution Press, Washington D.C.)』▽『American Odyssey 1963-1999 (1999, Aperture, New York)』▽『Mary Ellen Mark 55 (2001, Phaidon, Oxford)』▽『Mary Ellen Mark, Karen Folger JacobsWard 81 (1979, Simon & Schuster, New York)』▽『Mary Ellen Mark, John Irving, Nancy Baker et al.Streetwise (1988, Aperture, New York)』▽『Mary Ellen Mark, Constance Sullivan et al.The Photo Essay (1990, Smithsonian Institution Press, Washington D.C.)』▽『Mary Ellen Mark, Marianne Fulton25 Years (1991, Bulfinch, Boston)』
スイスの指揮者。ザンクト・ガレンに生まれる。チューリヒおよびバーゼル両大学卒業後、音楽に転じてアルフレッド・コルトーに師事、短期間ピアニストとして活動ののち指揮者となる。デュッセルドルフ、ボン、ウィーン・フォルクスオーパーの指揮者を歴任、1962年(昭和37)初来日。オペラのかたわら手がけるコンサートではモーツァルトやメンデルスゾーンを得意とし、とくに前者で優れた解釈を示し、モーツァルト指揮者として名をなした。84~91年ベルン交響楽団首席指揮者、90年イタリアのトレビーゾ歌劇場音楽監督に就任した。
[岩井宏之]
「Mach」のページをご覧ください。
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
…いずれのプラットフォームでもWindows NTと競合しているが,まだ安定度と成熟度で優っていると言われる。Machマーク。カーネギー・メロン大学で開発されたUNIX系の分散OS。…
※「マーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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