スローン（読み）すろーん（英語表記）Alfred Pritchard Sloan, Jr.

日本大百科全書(ニッポニカ)

スローン
すろーん
Alfred Pritchard Sloan, Jr.
（1875―1966）

アメリカの実業家。コネティカット州に生まれる。マサチューセッツ工科大学で電気工学を修めて実業界に入り、自動車部品製造会社の経営で手腕を認められた。1918年ゼネラル・モーターズ（GM）社に副社長として迎えられ、名経営者として生涯を同社の発展のために尽くした。単一車種に固執するヘンリー・フォードの行き方に対抗して、所得階層に応じた複数車種の生産をGMの経営戦略として採択し、これに応じた管理組織として、分権制に基づく事業部制組織をつくりあげたことで有名である。自伝『GMとともに』は、その内容の率直さのゆえに企業関係者の間で広く読まれた。

［小林袈裟治］

『田中融二他訳『GMとともに』（1979・ダイヤモンド社）』

[参照項目] | ゼネラル・モーターズ

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

スローン
Sloan, Alfred P., Jr.

[生]1875.5.23. コネティカット，ニューヘーブン
[没]1966.2.17. ニューヨーク，ニューヨーク
アメリカ合衆国の自動車メーカー，ゼネラル・モーターズ GMの経営者。フルネーム Alfred Pritchard Sloan, Jr.。マサチューセッツ工科大学で電気工学を学び，26歳でベアリング会社の社長となって，自動車産業向けベアリング供給事業を築いた。同社が 1918年ゼネラル・モーターズの傘下に入ると，ゼネラル・モーターズの副社長に就任。ピエール・S.デュポンらが経営権を握ると 1923年社長となった。分権的な事業部制による近代的な経営管理体制を樹立し，1920年代末には販売代数でフォード・モーターを抜いて，最終的にゼネラル・モーターズを世界最大の企業に築き上げた。1937年取締役会長。1946年経営の一線から退き，1956年取締役会長も退任したが，以後も名誉会長にとどまった。

スローン
Sloane， Sir Hans

[生]1660.4.16. アイルランド，キリレイ
[没]1753.1.11. ロンドン
イギリスの非常に著名だった医師。大英博物館の基礎を築いた収集家。珍しい書籍，写本，骨董品を収集するかたわら，植物に興味を示し，1687年ジャマイカを訪れ，植物の新種 800種を集めてその目録をつくった。 1727年ジョージ2世の侍医，ロイヤル・ソサエティの会長。当時5万ポンドの値がつけられた莫大な収集品を国が2万ポンドで買上げるという条件で国に遺贈し，その結果，59年大英博物館が設立された。

スローン
Sloan， John French

[生]1871.8.2. ペンシルバニア，ロックヘーブン
[没]1951.9.7. ニューハンプシャー，ハノーバー
アメリカの画家，漫画家，挿絵画家。ペンシルバニアの美術学校で学び，1905年ニューヨークへ出て，07年以後本格的に絵画制作に取組む。写実主義グループ「アシュカン派」を結成し，ニューヨークのスラム街の生活などを描いた。独立美術家協会の会長をつとめ，14～38年アート・スチューデンツ・リーグで教えた。著書『芸術の要点』 The Gist of Art。

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