日本大百科全書(ニッポニカ) 「スワップ協定」の意味・わかりやすい解説
スワップ協定
すわっぷきょうてい
swap agreement
二か国の中央銀行が一定額の自国通貨を一定期間相互に預け合うことを取り決めた協定。取得した相手国通貨は主として為替(かわせ)安定資金に使用される。多くは3か月ないし6か月の短期協定であるが、双方の合意があれば更新できる。相手国通貨をもつことに伴う為替リスクを回避するため、返済は預け合ったときの為替相場によって行われる。
スワップ協定は、1959年にアメリカの連邦準備制度が旧西ドイツの中央銀行(ブンデスバンク)との間で締結したのが最初であるが、その後アメリカの連邦準備制度はドル防衛のために協定網を拡大し、日本銀行も1963年(昭和38)に同制度と協定を結んだ。この協定は、もともと双務的な信用供与の方法なので、その後、各国の中央銀行間でも協定が結ばれ、国際収支危機を乗り切る手段として利用されている。なお、取得した相手国通貨は、為替操作に使用しない場合には財務省証券(TB)などに投資できる。
[土屋六郎]