パーマロイ(読み)ぱーまろい(英語表記)Permalloy

翻訳|Permalloy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パーマロイ」の意味・わかりやすい解説

パーマロイ
permalloy

特殊用途の合金鋼の一種。 1916年 G. W.エルメンがニッケル Ni78.5%,鉄 Fe21.5%の合金を急冷すると異常に高い初透磁率 (約 9000) と小さい保磁力 (0.05エルステッド以下) を示すことを発見し,パーマロイと名づけた。しかしこれは冷却加減が微妙で,誤ると規則格子 Ni3Fe の析出で磁性が劣化するのでパーマロイAといわれたまま実用にならなかった。実用品は銅,クロムを添加したパーマロイCまたはミューメタル,モリブデン Moを加えたモリブデンパーマロイで,いずれも熱処理性がパーマロイAより安定で初透磁率2万,最大透磁率9万に達する。 Ni79%,Mo5%,Fe15.5%,マンガン 0.5%の合金スーパーマロイは初透磁率 12万とさらに高い。これらは弱磁場の通信機器,磁場の遮蔽材などに使われる。別に Ni30~40%の鉄合金はパーマロイD,Ni50%のものはパーマロイBといい,後者は飽和磁気 (1万 6000ガウス) が他の品種より大きい。前者は小型変圧器,チョークコイル,整磁合金に使われ,またパーマロイBは強加工後の圧延で異方性処理をしたもの (パーマロイEという) が角型ヒステリシスを示すところから,中等の磁場の増幅器磁気記憶装置のコイル磁心に用いられる (→磁性材料 ) 。パーマロイの名は,透磁率 permeabilityと合金 alloyの合字である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パーマロイ」の意味・わかりやすい解説

パーマロイ
ぱーまろい
Permalloy

磁性材料用のニッケル鉄合金。透磁率(パーミアビリティpermeability)が高い合金(アロイalloy)という意味から合成した名称。1921年アメリカのベル研究所のエルマンG. W. ElmenとアーノルドH. D. Arnoldによって発明され、その後ウェスタン・エレクトリック社から市販された。75%ニッケル付近の合金でもっとも高い透磁率を示す。この合金には不規則―規則格子変態があり、この変態を利用して結晶磁気異方性および磁気ひずみの小さい合金にして、高い透磁率を得ている。軟鉄に比べて約100倍の透磁率を示し、磁心材料の中心的な合金である。

[本間基文]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例