ニッケルNiを35~80%含むニッケル-鉄合金の総称。磁性材料の一種で,おもに継電器,各種変成器,磁気増幅器などの弱電用に用いられる高透磁率合金。この合金の磁気特性はニッケル量によって大きく変わるので,使用目的によって選択する。Ni約50~80%の合金は徐冷すると規則格子Ni3Feを形成するが,規則-不規則変態温度(約500℃)以上から急冷したときには規則格子形成が抑制され,透磁率が高くなる。また一般に磁気特性は機械的ひずみに敏感であるので,打抜き,せん(剪)断などの加工後,熱処理しなければならない。Ni35~40%のものはパーマロイDと称し,とくに交流磁気特性がすぐれている。Ni40~50%のものは比較的高い磁場での使用に適する。Ni50%ではヒステリシスループが角形となる。Ni70~80%のものはパーマロイAと称し,代表的な組成はNi78.5%,急冷処理によりきわめて高い透磁率を示す。これに添加元素を加えて急冷処理を行わなくても高い透磁率が得られるようにしたのがパーマロイCである。
執筆者:大久保 忠恒
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
磁性材料用のニッケル鉄合金。透磁率(パーミアビリティpermeability)が高い合金(アロイalloy)という意味から合成した名称。1921年アメリカのベル研究所のエルマンG. W. ElmenとアーノルドH. D. Arnoldによって発明され、その後ウェスタン・エレクトリック社から市販された。75%ニッケル付近の合金でもっとも高い透磁率を示す。この合金には不規則―規則格子変態があり、この変態を利用して結晶磁気異方性および磁気ひずみの小さい合金にして、高い透磁率を得ている。軟鉄に比べて約100倍の透磁率を示し、磁心材料の中心的な合金である。
[本間基文]
透磁率の非常に大きいNi-Fe系の軟磁性合金.外部磁場を加えると,磁壁の移動が容易に生じて磁化されやすく,また飽和磁束密度が大きく,わずかな反対磁場で簡単に消磁されるという特徴をもつ.このため,磁気ヘッド用の材料として広く用いられている.パーマロイにMoを添加することにより,透磁率をさらに高めた合金をスーパーマロイ(supermalloy)とよぶ.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新