ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゼフィレッリ」の意味・わかりやすい解説
ゼフィレッリ
Zeffirelli, Franco
[没]2019.6.15. ローマ
イタリアの演出家,舞台装置家。本名 Gianfranco Corsi。フィレンツェ大学で建築を専攻したが,第2次世界大戦でのドイツ軍のイタリア占領によって中断されたため,パルチザンとなってイギリス軍の通訳を務めた。終戦後はローマに移り,1946年からルキノ・ビスコンチのもとで俳優兼舞台装置家として働いた。映画『揺れる大地』La terra trema(1948)などの装置で認められたのち舞台美術に集中。ミラノのスカラ座やロンドンのコベントガーデン劇場でオペラの演出も手がけ,1950年代から 21世紀初頭にかけて,『椿姫』La traviata,『ランメルモールのルチア』Lucia di Lammermoor,『ラ・ボエーム』La Bohème,『トスカ』Tosca,『カルメン』Carmenなど数多くのオペラや演劇の制作に携わった。1960年オールド・ビック劇場で演出した『ロミオとジュリエット』Romeo and Julietは,古典に現代の息吹を与えるものとして,イギリスのシェークスピア演出に大きな刺激を与えた。1968年にはこれを映画化,主役の 2人に 10代を起用して話題となった。映画監督としても活躍し,エリザベス・テーラーとリチャード・バートンが出演した『じゃじゃ馬ならし』The Taming of the Shrew(1967)や,メル・ギブソンが主役を演じた『ハムレット』Hamlet(1990)などを手がけた。
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