日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソドマ」の意味・わかりやすい解説
ソドマ
そどま
Sodoma
(1477―1549)
イタリアの画家。ソドマ(男色の意)は通称で、本名はジョバンニ・アントニオ・バッツィGiovanni Antonio Bazziという。北イタリアのピエモンテ地方の町、ベルチッリに生まれ、シエナで没。北イタリアで画業を学び、とりわけレオナルド・ダ・ビンチの影響を受けたが、1500年ころシエナに行き、以来シエナで活躍した。したがって、北イタリアよりも、むしろ中部イタリア画派の一人とみるべきである。実際、彼はシエナでペルジーノやルカ・シニョレッリの影響を受けている。05年から08年にシエナ近郊のモンテ・オリベート・マッジョーレのベネディクト派修道院に聖ベネディクトゥスの生涯の壁画を描き、シニョレッリが始めたこの連作を完成させた。またローマにも行き、ラファエッロなど諸家に学ぶとともに、ビラ・ファルネジーナの壁画などを制作している。彼は次世代のシエナのマニエリスムの画家たち、とりわけベッカフーミDomenico Beccafumi(1485―1551)に大きな影響を及ぼした。代表作は『十字架降下』(1502・シエナ国立絵画館)、『聖セバスチャンの殉教』(1525・フィレンツェ、ピッティ美術館)など。ソドマの描く絵画にはやや混乱がみられるが、その人物の表現には特有の優美さがあり、それが魅力となっている。
[石鍋真澄]
『エンツォ・カルリ著、在里寛司訳、高階秀爾監修『イル・ソドマ』(1981・鹿島出版会)』