日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソリーリャ」の意味・わかりやすい解説
ソリーリャ
そりーりゃ
José Zorrilla
(1818―1893)
スペインの詩人、劇作家。バリャドリード出身。代表作の戯曲『ドン・ファン・テノーリオ』(1844)では、真(まこと)の愛の力に導かれて神の許しと救いを得る、ロマン主義時代らしい主人公が登場する。劇作家の地位を確立した『靴屋と国王』の初演(1840)までに、叙情的な『東方詩集』など八冊の詩集を出し、長編史詩『グラナダ』(1852)には輝かしいイスラム世界の幻影を映している。叙情よりは叙事に力量をみせた彼は、自国の歴史、伝説に題材を求めた国民詩人で、民族の感興をそそる主題と響きのよい音楽的詩文で国民的作家の人気を博した。マドリードで没。
[菅 愛子]
『高橋正武訳『ドン・フワン・テノーリオ』(岩波文庫)』