男が自分の妻が死んだのち、その妻の姉妹、多くの場合妹を、その妻とする結婚の形態。姉妹逆縁婚と訳される。北アメリカのインディアンに多くみられる。この語は、夫が死んだのち、夫の兄弟と再婚するレビレート婚と対(つい)になっており、いずれも、成立した婚姻を、夫婦の一方の死によって消滅させることなく、継続させるために行うものである。そして、夫婦が、次世代の出産・養育の過程をまだ終了していない時点でその妻が死んだ際に行われるところに、意味があると考えられる。このソロレート婚によって、一方において、夫の親族集団の系統の絶えるのが防がれ、また一方においては、夫の側と妻の側の親族集団の姻縁関係が消滅することが防がれる。
ソロレート婚と似た形態で、姉妹を同時に妻にする形での複婚がある(ソロレート複婚)。この二つは類似しているようであるが、ソロレート婚のほうは、男は妻が死ぬ、という条件が満たされない限り、その姉妹とは結婚できないという禁止がある点で、ソロレート複婚と興味深い相違がある。
[船曳建夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…さまざまな家族制度を兄弟姉妹関係を視点としてみれば,兄弟姉妹間の連帯をなんらかの形で強調もしくは尊重するものと,兄弟姉妹間の分離を促進し,そのかわりに親子関係や夫婦関係を強調もしくは尊重するものの二つに大別できる。 兄弟姉妹関係を強調する家族制度としてとくに注目されるのは大家族制(拡大型家族),同族組織,オナリ神信仰,均分相続制,レビレート婚(兄弟逆縁婚),ソロレート婚(姉妹逆縁婚)である。日本における大家族制の最も一般的な形態は兄弟姉妹のうち複数の男の兄弟が結婚後配偶者をともなって生家にとどまり(多子残留),同一の家族を形成するものであり,親子関係に加えて兄弟間の連帯が強調される家族といえる。…
※「ソロレート婚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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