日本大百科全書(ニッポニカ) 「タウンハウス」の意味・わかりやすい解説
タウンハウス
たうんはうす
town house
通常、コモンスペースcommon spaceとよばれる共用庭をもつ低層の連続建住宅をいう。元来はイギリス貴族らの住む郊外住宅(カントリーハウスcountry house)に対する都市内住宅を意味していたが、第二次世界大戦後、北米を中心に住宅地の開発・設計手法(ランドプランニングland planning)の技術開発や、木造・枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の改良・開発と一体となって、新しい形式の郊外住宅として定着していった。日本では第一次オイル・ショック(1973)以後、住宅の質水準向上の一手段として低層集合住宅が見直されるなかで、共用庭をもつ連続建住宅の建設が増加し、タウンハウスという用語も普及し始めた。もっとも日本のタウンハウスは北米のような住宅地開発・設計手法としての位置づけは弱く、歴史的な背景や立地条件、所有・管理形態なども北米とは異なっている。したがって、日本の事情に合致したタウンハウスの位置づけと技術開発が必要となり、ヨーロッパの低層集合住宅をも参考としながらさまざまな試みがなされてきたが、その結果、多様な都市住宅の形式の一つとして定着しつつあるといえよう。今後、住戸アプローチとコモンスペースの関係、人と車との関係、土地や建物の所有・管理形態、建物の構造、工法および設計などについて検討が深められるとともに、それらの改善策に合致した法制度の整備が望まれる。
[髙田光雄]
『延藤安弘・大海一雄編著『タウンハウスの実践と展開』(1983・鹿島出版会)』▽『高見沢邦郎・猪狩達夫・永田巍著『タウンハウスの計画技法』(1982・彰国社)』▽『上田篤編『タウンハウス』(1979・鹿島出版会)』▽『集文社編・刊『新しいタウンハウス e+p29』(1980)』