精選版 日本国語大辞典 「玄関」の意味・読み・例文・類語
げん‐かん ‥クヮン【玄関】

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住宅の正面の出入口。禅宗寺院の方丈への入口。公共建築の正面出入口も玄関とよばれることが多い。仏教における玄妙の道に入る入口、すなわち仏門に入る入口を意味することから、方丈への入口を玄関とよんだのが初めである。
住宅の入口にそのための施設を設けたのは平安時代の寝殿造の中門(ちゅうもん)廊につくられた車寄(くるまよせ)や板扉が初めであろう。中門廊の車寄は、柱間に両折板扉を用い、軒唐破風(のきからはふ)をつけ、縁に昇るための段を設けている。これらの施設は中世の主殿造の中門に受け継がれ、主殿では短く突き出した中門の付け根の柱間に車寄を設け、続いて連子(れんじ)を横に入れた連子窓である刎上(はきあげ)連子、端の柱間に両開きの板扉を入れ、その先の落縁(おちえん)に妻戸をつける。これら車寄、端の板扉、妻戸を身分によって使い分けていた。近世になると中門は形式化し、式台および玄関が出入口になる。初め突き出た駕籠(かご)を下ろすための低い板床を玄関、取次の部屋を式台とよんでいたが、江戸時代に入って全体を玄関とよぶようになった。公家(くげ)住宅では近世にも輿(こし)や車を使っていたので、正面入口は玄関ではなく、輿寄あるいは車寄である。
民家では玄関をつくることが許されず、町屋(まちや)では通り庭の入口に大戸を設け、農家でも土間への入口が出入口であったが、庄屋(しょうや)など上層の民家では役人を迎えるために玄関をつくることが許された。明治になってその禁がなくなり、庶民の住宅にも玄関がつくられるようになった。しかし、敗戦まで玄関には格式が残っていて、主人や客のための表玄関と、家族のための内玄関、使用人のための勝手口が使い分けられていたが、近年の都市住宅では区別がなくなり、玄関一つの家も多くなった。公共建築では、小学校などわずかな例を除いて屋内でも下足のままであるが、いかに洋風が取り入れられても日本の住宅では下足のまま生活することはなく、近い将来日本の住宅から現在のような玄関がなくなることは考えられない。
[平井 聖]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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(1)禅宗寺院やその塔頭(たっちゅう)の方丈にみられる出入口。主屋の隅から突きだした形式は中世住宅の中門に似るが,南正面を出入口にする点や土間である点が異なるから,禅宗とともに中国からもたらされた形式であろう。(2)転じて,建物正面の出入口。江戸時代には,式台を構えた出入口をいい,玄関をもつことは武家や村役人などの特権だったが,近代には住宅形式を問わず出入口を玄関とよぶようになった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
…これは大名の居館などの訪問者はほとんどが家臣であり,用途上の必然的な変化である。17世紀中ごろになると,遠侍の車寄は式台付の玄関となり,対面の場も納戸を取り去った床,棚,書院を備えた上段と,次の間が1列に並ぶ形式へと変化してゆく。
[数寄屋造]
近世初期の上層階級の住宅のもう一つの注目しなければならない変化は,数寄屋造の普及である。…
※「玄関」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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