タニギキョウ(英語表記)Peracarpa carnosa (Wall.) Hook.f.et Thoms.var.circaeoides (Fr.Schm.) Makino

改訂新版 世界大百科事典 「タニギキョウ」の意味・わかりやすい解説

タニギキョウ (谷桔梗)
Peracarpa carnosa (Wall.) Hook.f.et Thoms.var.circaeoides (Fr.Schm.) Makino

キキョウ科の小型の多年草林下や谷筋などの半日陰で湿った場所にふつうに生える。中国・ヒマラヤ系の植物で,日本全土のほか中国にも分布し,ヒマラヤにはこれによく似たヒマラヤタニギキョウvar.carnosaがある。地下茎は白く,細くてよく分枝し,株をつくる。地上茎は高さ5~15cm,葉は枝ごとに数枚ずつつき,卵円形で長さ8~25mm,幅5~20mm,先はとがらない。花は長い柄の先に単生し,径約1cm,花冠は小さく,白色またはわずかに紅紫色をおび,長さ5~8mm,5深裂し,裂片は開出する。花盤は発達せず,果実側壁はうすくて裂開しない。花期は5~8月。ヒマラヤタニギキョウはタニギキョウに比べて花はより小さく,葉の先はとがる。タニギキョウ属Peracarpaは1属1種しかなく,タニギキョウとヒマラヤタニギキョウは互いに変種関係とみなされている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タニギキョウ」の意味・わかりやすい解説

タニギキョウ
たにぎきょう / 谷桔梗
[学] Peracarpa carnosa (Wall.) Hook.f. et Thoms. var. circaeoides (Fr.Schm.) Makino

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)の多年草。全体が軟弱で小さく、高さ5~15センチメートル。葉は互生し、卵円形。6~8月、茎の上部葉腋(ようえき)および頂に細長い花柄を出し、白色の5弁花を上向きに開く。北海道から九州の丘陵帯から亜高山帯の林内に生え、樺太(からふと)(サハリン)、千島カムチャツカに分布し、基本種はインドに分布する。タニギキョウ属は、果実は下垂し、裂開しない。シベリアからアジアにかけて1属1種のみ分布する。

[高橋秀男 2021年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タニギキョウ」の意味・わかりやすい解説

タニギキョウ(谷桔梗)
タニギキョウ
Peracarpa carnosa var. circaeoides

キキョウ科の小型の多年草。アジア東部の温帯から冷温帯にかけて広く分布する。日本各地の山地木陰に生える。地下茎は白色の糸状で細長く分枝し,先は立上がり高さ 10cmほどの地上茎となる。径1~2cmの卵円形の葉がまばらに互生する。春から夏に,茎の先端から長い花柄を伸ばし長さ数 mmの白色鐘形の小花を単生する。花冠は深く5裂して一見星形にみえる。

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