日本大百科全書(ニッポニカ) 「タベルニエ」の意味・わかりやすい解説
タベルニエ
たべるにえ
Bertrand Tavernier
(1941―2021)
フランスの映画監督。リヨン生まれ。『カイエ・デュ・シネマ』などの雑誌で映画批評活動を続け、ヌーベル・バーグの育ての親の一人、ジョルジュ・ド・ボールガールGeorges de Beauregard(1920―1984)の製作会社の宣伝部に勤める。1973年、長編第一作『サン・ポールの時計屋』を監督。シムノンの原作がもつ雰囲気をいかし、1974年度ルイ・デュリック賞を受賞。続く『祭よ始まれ』(1974)は、一転してフランス18世紀の史実に題材を求め、現代の政治に通じるものを描き、セザール賞を受賞。この2本で詩的リアリズムの世界が持ち味の作家として注目された。その後の作品に『判事と殺人者』(1976)、『甘やかされた子どもたち』(1977)、『通夜』(1980)、『布巾(ふきん)の音』(1982)、『田舎(いなか)の日曜日』(1984)、『ラウンド・ミッドナイト』(1986)、『パッション・ベアトリス』(1987)、『素顔の貴婦人』(1989)、『ダディ・ノスタルジー』(1990)、『ソフィー・マルソーの三銃士』(1995)、ベルリン国際映画祭作品賞に選ばれ、詩的リアリズムを評価された『ひとりぼっちの狩人たち』(1995)、幼稚園長が社会の矛盾と闘う物語『今日から始まる』(1999)などがある。
[鳥山 拡]
資料 監督作品一覧
接吻・接吻・接吻 Les baisers(1963)
サン・ポールの時計屋 L'horloger de Saint-Paul(1973)
祭よ始まれ Que la fête commence...(1974)
判事と殺人者 Le juge et l'assassin(1976)
甘やかされた子どもたち Des enfants gâtés(1977)
SF デス・ブロードキャスト(通夜) La mort en direct(1980)
田舎の日曜日 Un dimanche à la campagne(1984)
ラウンド・ミッドナイト 'Round Midnight(1986)
パッション・ベアトリス La Passion Béatrice(1987)
素顔の貴婦人 La vie et rien d'autre(1989)
ダディ・ノスタルジー Daddy Nostalgie(1990)
ソフィー・マルソーの三銃士 La fille de d'Artagnan(1994)
ひとりぼっちの狩人たち L'appât(1995)
今日から始まる Ça commence aujourd'hui(1999)
レセ・パセ 自由への通行許可証 Laissez-passer(2002)
エレクトリック・ミスト 霧の捜査線 In the Electric Mist(2009)