通夜(読み)ツウヤ

デジタル大辞泉 「通夜」の意味・読み・例文・類語

つう‐や【通夜】

夜どおし。一晩じゅう。「通夜の宴」「通夜運行」
つや(通夜)

つ‐や【通夜】

死者を葬る前に家族知人などが集まり、終夜なきがらのそばで過ごし、冥福めいふくを祈ること。おつや。
神社仏堂にこもって終夜祈願すること。

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精選版 日本国語大辞典 「通夜」の意味・読み・例文・類語

つ‐や【通夜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神社・寺院に参籠して、終夜祈願すること。徹夜で勤行・祈願すること。
    1. [初出の実例]「押御殿隔子内、余通夜宝前心経」(出典:台記‐久寿二年(1155)一二月一一日)
  3. 葬儀の前夜、故人とかかわりの深い者が集まり、終夜遺体を守ること。夜とぎ。とぎ。
    1. [初出の実例]「此中妹のお柚が死(しん)だら、いいぢゃアねへか、二親さへ寝たのに通夜(ツヤ)をしてナ」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)二)
  4. ( の行事の簡略化したもの ) 葬儀の前夜に行なわれる法要。
  5. つうや(通夜)

つう‐や【通夜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 夜どおし。一晩中。通宵。また、物事を夜どおし行なうこと。
    1. [初出の実例]「通夜粧楼独画眉、春朝擬歌舞台」(出典:凌雲集(814)春日代妓〈藤原道雄〉)
    2. 「実に大都の露店に通夜(ツウヤ)するもの千を以て数ふべく」(出典:最暗黒之東京(1893)〈松原岩五郎〉二四)
    3. [その他の文献]〔晉書‐仏円澄伝〕
  3. つや(通夜)
    1. [初出の実例]「さらば今夜通夜(ツウヤ)して、いとま申てくだらばや」(出典:金刀比羅本平治(1220頃か)下)

よ‐も‐すがら【通夜・竟夜】

  1. 〘 副詞 〙 暮れ方から夜明けまでずっと。一晩中。夜どおし。終夜。
    1. [初出の実例]「通夜(ヨモスカラ)、火滅ず」(出典:日本書紀(720)履中即位前(図書寮本訓))
    2. 「夜もすがら涙もふみもかきあへず磯こす風に独おきゐて」(出典:十六夜日記(1279‐82頃))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「通夜」の意味・わかりやすい解説

通夜(つや)
つや

夜通し寝ずに起き明かすこと。しかし単なる徹夜とは違い、神仏への祈願や死者に付き添うためのものをいう。神仏への祈願や祈祷(きとう)のための通夜は、痛切な願い事のあるとき、長時間にわたって祈願を継続し、またそのために受ける心身の苦痛を、神仏が哀れんで願いをかなえてくださるだろうという趣旨に基づく。平安時代から盛んに行われており、いまでも神社や寺でお籠(こも)り堂をもち、村や集落で通夜堂を維持している例が多い。そこで念仏や経文を唱え、簡単な飲食をしたり雑談したりしながら過ごすのが通例である。死者に対する通夜は、息を引き取ってから埋葬または火葬にするまでの間の夜、近親者が死者とともに過ごすもので、邪霊の侵入を防ぐのがおもな目的である。通夜を「お伽(とぎ)」「夜伽」「添い寝」などといって相続人が死者と添い寝をする例があるのは、霊魂継承の意味であろう。近来はもっと広い範囲の人たちが集まり、死者の思い出を語り合う機会になっており、そういう場面では近親者以外の人は早めに辞去するのが礼儀である。古代の殯宮(もがりのみや)や喪屋(もや)の制は早くに消滅したが、通夜の習俗はそれらの変化した残存形だと考えられている。

[井之口章次]


通夜(つうや)
つうや

通夜

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改訂新版 世界大百科事典 「通夜」の意味・わかりやすい解説

通夜 (つや)

夜伽(よとぎ)ともいい,近親者が死者のそばにあって一晩をあかすこと。現在では夜の7時ころに行う簡単な仏事をさしている。しかし,今でも最初の夜は仮通夜といい近親者のみで行い,2日目に本通夜を行うところがある(岐阜,滋賀)。山口県大島などでは,死者のかたわらで夜伽することを〈添寝〉といい,また,対馬の阿連では夜伽のことをドシといって,死者を入れた三隅蚊帳の外で,〈火がかり〉の者が寝たりするので,通夜は古代の喪屋のなごりであると考えられている。通夜には,遺体の前で一晩,ろうそくと線香の火を絶やさずあげる。九州で通夜に行く者がメサマシといって握飯を持って行く風があるのは死者の家の火で炊いた食物を避けるためであった。なお通夜は元来,寺社に参籠して夜通し祈願することをいった。《日萄辞書》には〈夜もすがら〉の意で,〈寺や社で寝ずの番をしながら一晩を過ごす〉こととある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「通夜」の意味・わかりやすい解説

通夜
つや

字義は夜通しということであるが,一般には神祭りや祈願のためのお籠りをいう場合と,人が死んでから葬儀を行うまでの間,近親者が死体のそばで見守って夜を過すことをいう場合とがあり,特に後者を示すことが普通になってきた。死後の通夜は,不安定な死者の霊を見守り,また邪霊などの接近を防ぐことが本来の目的で,ときには死者が息を吹返す可能性もあったとされ,少数の最近親者が夜通し起き明かした。しかし葬儀全般の運営が葬式組など地域集団の相互扶助的な性格を強めるに伴い,葬儀に先立って通夜の弔問が一般的となり,近隣縁者が飲食物を持寄り,葬家においても相当の接待を行い,深夜に及ばない時刻をもって通夜を打切ることが慣習となった。また,かつては死者のまわりに枕屏風をめぐらして,枕飯,一本花,線香,灯明などの簡単な供物を上げるだけであったが,弔問者が多くなると,早く湯灌・入棺をすませ,あらかじめ祭壇を飾りつけることが一般的になった。

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百科事典マイペディア 「通夜」の意味・わかりやすい解説

通夜【つや】

〈つうや〉〈よとぎ〉とも。死者のそばで夜をあかすこと。喪屋(もや)の生活のなごりと考えられ,兵庫県や鳥取県の一部では,死者の配偶者または親や子が,一夜遺体に一つ蒲団(ふとん)で添い寝する習俗も近年までみられた。本来は死の忌のかかる近親者だけの務めで,ろうそくや線香の火を絶やさぬようにする。現在では忌火の観念も消えたため,死者の家で煮たきしたものまで平気で食べるようになった。神社,仏堂に一夜こもることを通夜ということもある。
→関連項目葬制

通夜【つうや】

通夜(つや)

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とっさの日本語便利帳 「通夜」の解説

通夜

昔は死を確認する技術が稚拙であったので、死んだと判定された者が生き返る例が多かった。そこで死体の監視をする必要があり、それが通夜の儀式であった。一人で死体を監視するのは怖いもので、大勢で陽気に飲食をしながら通夜をした。通夜が故人の冥福を祈るまじめな儀式になったのは、近代になってから。最近は、内輪の者だけでする仮通夜と、一般の弔問を受ける本通夜の、二度の通夜が行われることが多い。もっとも、本通夜といっても、一般の弔問者は夜九時頃には帰る半通夜である。また、通夜に限らず葬送儀礼には地域差が大きい。北海道などでは、本葬よりも通夜の方が重要視されている。一般の弔問者は通夜に出た方がよいとされる。しかし、本来の通夜は、親族だけが行ったもの。

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葬儀辞典 「通夜」の解説

通夜

遺族、親族、知人が夜を徹して死者の霊を慰めるものです。近年、通夜に一般の弔問客を迎えるようになり、夏は7時、冬は6時頃から1、2時間程度行われる「半通夜」になっています。通夜は僧侶の読経で始まり、その間に焼香をします。参列者全員の焼香が済むと、通夜は終了します。=夜伽(よとぎ)

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普及版 字通 「通夜」の読み・字形・画数・意味

【通夜】つうや

徹夜。

字通「通」の項目を見る

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