タムガディ(読み)たむがでぃ(英語表記)Thamugadi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タムガディ」の意味・わかりやすい解説

タムガディ
たむがでぃ
Thamugadi

現在のアルジェリア北東部のティムガドTimgadにあった古代ローマ帝国の都市。紀元後100年、第三アウグストゥス軍団の退役兵を植民者としてトラヤヌス帝によって建設された。この1世紀末は、アフリカのプロコンスラリス、ヌミディア両州における先住ベルベル系諸族の平定がいちおう達成される時期にあたるが、タムガディ市はアウレスAures山系北端を横断する(ランバエシスLambaesisとテベステThevesteを結ぶ)軍道上の拠点として、この山系の移牧民の動きを抑止する役割を果たした。その後、4世紀までは繁栄し、都市域の拡大が続いたが、5世紀(バンダル時代)にはサハラ遊牧民の攻撃を受け、さらにアラブ侵入(7世紀末)の際にも攻略され、衰退した。タムガディの遺構はほぼ完全に発掘され、長方形の都市プランの全貌(ぜんぼう)が明らかになっている点で、シドラ湾岸のレプティス・マグナLeptis Magna市と並んで貴重な考古学上の資料を提供している。

[栗田伸子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タムガディ」の意味・わかりやすい解説

タムガディ
Thamugadi

アルジェリア北東部,ヌミディアの古代ローマの都市。現ティムガド。 100年にトラヤヌス帝によって建設された。防衛の拠点であり,かつきわめて居住に適した都市。北アフリカにおいてローマ時代の遺跡を完全に保っている数少い都市であり,多くの公衆浴場劇場,図書館や市場の跡が発掘されている。4世紀にはキリスト教異端であるドナツス派の拠点となった。のちバンダル族の時代にはサハラからベルベル人の侵入を受け,さらにアラブ人によって攻略された。

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