現在のアルジェリア北東部のティムガドTimgadにあった古代ローマ帝国の都市。紀元後100年、第三アウグストゥス軍団の退役兵を植民者としてトラヤヌス帝によって建設された。この1世紀末は、アフリカのプロコンスラリス、ヌミディア両州における先住ベルベル系諸族の平定がいちおう達成される時期にあたるが、タムガディ市はアウレスAures山系北端を横断する(ランバエシスLambaesisとテベステThevesteを結ぶ)軍道上の拠点として、この山系の移牧民の動きを抑止する役割を果たした。その後、4世紀までは繁栄し、都市域の拡大が続いたが、5世紀(バンダル時代)にはサハラ遊牧民の攻撃を受け、さらにアラブの侵入(7世紀末)の際にも攻略され、衰退した。タムガディの遺構はほぼ完全に発掘され、長方形の都市プランの全貌(ぜんぼう)が明らかになっている点で、シドラ湾岸のレプティス・マグナLeptis Magna市と並んで貴重な考古学上の資料を提供している。
[栗田伸子]
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…〈ネロの浴場〉〈ティトゥスの浴場〉〈トラヤヌスの浴場〉などのほか,皇帝浴場の代表例としては現在も保存状態の良い〈カラカラの浴場〉と〈ディオクレティアヌスの浴場〉などがある。ローマ人がいかに浴場を好んだかは,北アフリカのローマ都市タムガディThamugadi(人口約8000)で14の公共浴場が発見されていることや,シリアのドゥラ・ユーロポスやブリタニア辺境のローマ軍駐屯地でも浴場施設が確認されていることからわかる。【青柳 正規】
[ヨーロッパにおける入浴の習慣]
古代初期においては,宗教上の重要な儀式の前の〈身をきよめるための入浴〉ということが,重要な要素を占めていたように思われる。…
※「タムガディ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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