温湯、潮湯または温泉などを使用して公衆を入浴させる施設。形態的に普通公衆浴場と特殊公衆浴場がある。普通公衆浴場は歴史も古く、俗に湯屋、銭湯、風呂(ふろ)屋などとよばれ親しまれている。この浴場は日常生活に必要なことから、入浴料金が物価統制令で統制されている。普通公衆浴場の施設数は全国で5878(2004)である。自家風呂の普及に伴い、1980年に約1万6000あったものが、全国的に減少した。国が、普通公衆浴場の確保を図ることとして、「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」を1981年(昭和56)に公布したが、効果はあまりなかった。特殊公衆浴場にはサウナ、ヘルスセンターなどとよばれるものがあり、全国の施設数は2696(2004)。公衆浴場は設置場所、構造設備、衛生措置等について保健所の監督を受け、保健所でこの業務を行う者を環境衛生監視員という。
[中島達也]
この法律(昭和23年法律139号)の目的は、おもに公衆衛生の確保とあわせて、風紀に関して規制をするものである。公衆浴場は不特定多数の人が利用する施設であり、入浴による伝染病の媒介、そのほか衛生上の危害を防止すること、また入浴にかかわる風紀の適正を図るための規制が定められている。公衆浴場を経営しようとする者は、都道府県または指定市の条例で定めている設置場所、構造設備等の基準に適合する施設を設けて、知事または指定市の市長の許可を受けなければならない。営業者は同条例の規定に従って、施設の換気、採光照明、保温、清潔と、浴用湯水の清潔、風紀等に必要な措置を講じなければならないなどの規定と、違反に対する罰則として営業停止処分などの定めがある。
[中島達也]
…入浴料をとって入浴させる公衆浴場。洗湯とも書く。…
…勧進活動などに名を残した重源,叡尊,忍性ら,中世の有力な僧たちは施浴を行い,実際に浴室を建てている。都市の一般の人々を入浴させるいわば公衆浴場もこの寺院の施浴が起源であったと考えられる。このような料金を取って人々を入浴させる風呂は室町時代以前から京都,奈良などの都市に出現するが,公家たちが数人で買い切って入浴することも行われた。…
※「公衆浴場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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