改訂新版 世界大百科事典 「タムラソウ」の意味・わかりやすい解説
タムラソウ
sawwort
Serratula coronata L.ssp.insularis(Iljin) Kitam.
本州,四国,九州および朝鮮に分布し,山地の草原に生えるアザミに似たキク科の多年草。基本亜種ssp.coronataは中国北部,シベリアからヨーロッパにかけて分布している。茎の高さは30~140cm,葉は互生し,上葉には柄がなく,下葉になるにつれて柄が長くなり,葉身が羽状に深く裂けており,縁にあらい鋸歯がある。アザミのような鋭いとげはなく,両面に細かな白毛がある。8~10月に長い茎の頂に紅紫色の頭花をつける。頭花は上向きに咲き,径3~4cm。総苞片は7列で覆瓦(ふくが)状にならび,縁の1列の小花はめしべ,おしべともになく種子ができないが,内部の他の小花は両性で果実ができる。瘦果(そうか)は剛毛状の冠毛を多数つけるが,毛がなく,斜めに花床につく。花床には鱗片状の剛毛がある。枝がほうき状になって先端に頭花のつく外観から,タマボウキの名もある。
執筆者:小山 博滋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報