タンブール(読み)たんぶーる(英語表記)anbūr ペルシア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タンブール」の意味・わかりやすい解説

タンブール
たんぶーる
anbūr ペルシア語

西アジアや中央アジアのリュート属撥弦(はつげん)楽器総称。洋ナシ形や半球形の木製共鳴胴(木製響板付き)に長い棹(さお)を取り付けたもので、全長40~120センチメートル。糸蔵のない形態が多い。棹には10~48本の可動フレット(羊腸製など)が巻かれる。金属弦の数は3~10本とさまざまで、普通、数本を一コースとして同音に調弦し、各コースを旋律用もしくは持続音用として使い分ける。音域は二オクターブ以上。奏者は、楽器を地面や膝(ひざ)の上に垂直に立てたり水平に構えたりして、指もしくは小さなプレクトラム(義甲)で弦をはじく。用途の多くは民俗音楽における独奏伴奏だが、トルコでは古典音楽にも用いられる。同種の楽器に、インドのタンブーラや東ヨーロッパのタンブラなどがある。

[山田陽一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タンブール」の意味・わかりやすい解説

タンブール
tanbūr

西アジア,中央アジア,インド,東ヨーロッパで使われる,椀形の胴と細長い棹をもつ撥弦楽器の総称。一般に腹面は薄い板張りで,棹には羊腸弦を巻いた可動フレットがあり,糸蔵はない。金属弦をもつ。地域によって形や奏法が異なるが,次にあげるのがこの名で呼ばれる代表的な楽器。 (1) トルコの古典音楽に使われるもの。普通3コースの複弦をもつ。 (2) イランでダルビーシュ (大道芸人) が弾く2弦のもの。ドタールとも呼ばれる。 (3) アフガニスタンと中央アジアでみられる3コースの主要弦と多くの共鳴弦をもつもの。 (4) インドでは,主要音を絶えず鳴らすドローンの奏法が重視され,その持続音のための楽器として用いられる。大型で4~6弦。南インドではタンブーラという。

タンブール
tambour; drum

建築用語。 (1) 古典建築の円柱柱身に用いられている円筒状の石材ドラム,太鼓石ともいう。 (2) 円蓋を支持する円筒形あるいは多角筒部分をいう。

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