日本大百科全書(ニッポニカ) 「タンブール」の意味・わかりやすい解説
タンブール
たんぶーる
anbūr ペルシア語
西アジアや中央アジアのリュート属撥弦(はつげん)楽器の総称。洋ナシ形や半球形の木製共鳴胴(木製響板付き)に長い棹(さお)を取り付けたもので、全長40~120センチメートル。糸蔵のない形態が多い。棹には10~48本の可動フレット(羊腸製など)が巻かれる。金属弦の数は3~10本とさまざまで、普通、数本を一コースとして同音に調弦し、各コースを旋律用もしくは持続音用として使い分ける。音域は二オクターブ以上。奏者は、楽器を地面や膝(ひざ)の上に垂直に立てたり水平に構えたりして、指もしくは小さなプレクトラム(義甲)で弦をはじく。用途の多くは民俗音楽における独奏や伴奏だが、トルコでは古典音楽にも用いられる。同種の楽器に、インドのタンブーラや東ヨーロッパのタンブラなどがある。
[山田陽一]