日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイアフォル鉱」の意味・わかりやすい解説
ダイアフォル鉱
だいあふぉるこう
diaphorite
銀(Ag)、鉛(Pb)およびアンチモン(Sb)の硫塩鉱物であるが、方鉛鉱の単位格子2個分、すなわちPb8S8のなかの6Pbを3Ag3Sbで置換したものという解釈が成立するような、Sの位置的変化が著しくない原子配列をもつため、これを特例として硫塩鉱物から除外し、同様の特徴をもったアラマヨ鉱とともにアラマヨ鉱‐ダイアフォル鉱群を設け、方鉛鉱の近縁鉱物として分類するという解釈が通用している。自形はc軸方向に伸びた柱状でc軸に平行な条線が発達した複雑な形態を示す。
熱水鉱脈型亜鉛・鉛鉱床中に産する。日本では北海道札幌市豊羽(とよは)鉱山(閉山)から報告されている。共存鉱物は方鉛鉱、閃(せん)亜鉛鉱、黄鉄鉱、濃紅銀鉱、ミアジル鉱、石英、菱(りょう)鉄鉱など。同定は塊状になってしまうとまったく手段がない。ただ銅鉱物との直接共存例はあまり知られていない。英名は同成分のフライエスレーベン鉱freieslebenite(化学式AgPbSbS3)と別種であるということで、「相違する」を意味するギリシア語に由来する。
[加藤 昭 2017年9月19日]