日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラマヨ鉱」の意味・わかりやすい解説
アラマヨ鉱
あらまよこう
aramayoite
銀(Ag)、アンチモン(Sb)、蒼鉛(そうえん)(ビスマス。Bi)の硫塩鉱物。アンチモンおよび蒼鉛の両方が必須(ひっす)成分で、これらの一方を欠いたミアジル鉱あるいはマチルダ鉱のいずれとも対称を異にし、かつ化学組成上連続性がない。原産地標本の分析値を計算すると、Sb:Bi=0.79:0.21となる。b軸に扁平(へんぺい)なやや変形した六角板状の自形。周囲の面にb面に平行に条線が発達する。形態的にはミアジル鉱に類似する。
浅~深熱水性鉱脈型金・銀鉱床の鉱石鉱物として産する。日本では宮城県栗原(くりはら)市細倉(ほそくら)鉱山(閉山)の熱水鉱脈型亜鉛・鉛鉱床および山形県南陽(なんよう)市吉野鉱山(閉山)の金・銀・銅鉱床から産出が報告されている。共存鉱物として安四面銅鉱、ミアジル鉱、黄鉄鉱、黄錫(おうしゃく)鉱、石英などがある。同定は形態が出ていれば、擬六角板状の自形と条線で、ミアジル鉱類似の外観による。条痕(じょうこん)は明瞭(めいりょう)に赤褐色味を帯びた黒色で、ミアジル鉱のそれよりも暗い。明瞭な劈開(へきかい)は結晶粒が大きければ役にたつが、粒が細かいとまったくわからない。命名はボリビアのアラマヨAramayo鉱山会社の前支配人フェリックス・アベリーノ・アラマヨFelix Avelino Aramayo(1846―1929)にちなむ。
[加藤 昭 2015年12月14日]