ダイモンジソウ(読み)だいもんじそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイモンジソウ」の意味・わかりやすい解説

ダイモンジソウ
だいもんじそう / 大文字草
[学] Saxifraga fortunei Hook.f. var. alpina (Matsum. et Nakai) Nakai
Saxifraga fortunei Hook.f. var. incisolobata (Engl. et Irmsch.) Nakai

ユキノシタ科(APG分類:ユキノシタ科)の多年草山地渓谷沿いの岩上や滝の近くの岩壁などの湿った場所に生える。根茎は短く、葉は根生して長い柄をもち、葉身は腎(じん)状円心形、縁(へり)は5から多数に浅裂し、表面は緑色、裏面は淡緑色、葉肉中には金平糖(こんぺいとう)状の結晶がある。7~11月、高さ5~40センチメートルの花茎を出し、集散状に多数の白い左右相称花をつける。5個の花弁のうち、下側の2個は大きく垂れ下がり不同、上側の3個の花弁は下側の花弁よりも小さく、披針(ひしん)形または長楕円(ちょうだえん)形。名は、この花の形に由来する。雄しべは10本、葯(やく)は赤っぽい橙(だいだい)色または暗褐色子房は上位で、2枚の心皮からなり、下半部は環状に隆起した黄色の花盤に取り巻かれる。南千島、樺太(からふと)(サハリン)から日本全土、朝鮮半島、中国に分布が及ぶ。低地から高山まで生育範囲がきわめて広いため、変異が多く、いくつかの変種が知られている。

[若林三千男 2020年3月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダイモンジソウ」の意味・わかりやすい解説

ダイモンジソウ(大文字草)
ダイモンジソウ
Saxifraga fortunei var. incisolobata

ユキノシタ科の多年草で,アジア東部に広い分布をもち,日本各地の山地の湿った岩壁などに生える。葉は根生し,長い柄があり腎臓形または円形で,掌状に浅く裂ける。茎,葉ともほとんど無毛のものから長い毛をまばらに生じるものまでさまざまである。夏から秋にかけて,高さ 10~30cmの花茎を出し,上部にまばらな円錐花序をつけて白色の5弁花を開く。5枚の花弁のうち上部の3枚は特に小さく,下の2枚は細長い披針形で垂れ下がり,全体として「大」の字に似ていることからこの名がつけられた。地域的に変異が多く,カエデダイモンジソウ,ケダイモンジソウ,ウチワダイモンジソウなどの変種が知られている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android