日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダウランド」の意味・わかりやすい解説
ダウランド
だうらんど
John Dowland
(1563―1626)
イギリスの作曲家、リュート奏者。出生地は彼自身の記述によるとロンドンだが、これには異説も多い。1580年からパリ、ブラウンシュワイクおよびヘッセンの宮廷、ローマ、フィレンツェなどで活躍したあと、98年からデンマーク王クリスティアン4世の宮廷でリュート奏者を務めた。1606年にイギリスに戻り、12年ジェームズ1世の宮廷リュート奏者となって、死の年まで王室で活躍した。ダウランドは、エリザベス1世からジェームズ1世にかけての時代を代表するリュート歌曲とリュート独奏曲の作曲家であり、86曲のリュート歌曲、約80曲のリュート独奏曲を残している。ほかに、宗教声楽曲や器楽合奏曲なども書いた。なかでもリュート歌曲『流れよ、わが涙』Flow my tearsの旋律は当時たいへんな人気を博し、ダウランド自身、その旋律によるリュート独奏曲や器楽合奏曲を書いているほか、当時の多くの作曲家が、その旋律に基づく器楽曲を残した。ロンドンに没。
[今谷和徳]