改訂新版 世界大百科事典 「ダッディ」の意味・わかりやすい解説
ダッディ
Bernardo Daddi
生没年:1290ころ-1348
イタリアの画家。1320年以前にフィレンツェの画家組合に登録される。年記(1328),署名のある彼の最も古い作品《二聖人を伴う聖母子》は,ジョット色が濃く,その影響下ないしは師弟関係にあったことが知られる。この作品を含めて,ダッディとその工房は数多くの小さな礼拝用の板絵,2連あるいは3連祭壇画を残し,フィレンツェにおける小祭壇画流行のきっかけをつくった。フィレンツェのサンタ・クローチェ教会に描いた壁画〈ラウレンティウスおよびステファヌス伝〉は,量感ある人物像や,衣襞,陰影法にジョット様式をとどめる一方,鮮やかな色彩,洗練された描線,豊富な細部描写は,シエナ派への接近もうかがわせる。
執筆者:生田 圓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報