日本大百科全書(ニッポニカ) 「チブサノキ」の意味・わかりやすい解説
チブサノキ
ちぶさのき
[学] Genipa americana L.
アカネ科(APG分類:アカネ科)の中高木。熱帯アメリカ原産。高さ約15メートル。樹冠は大きく広がり、下枝はやや垂れ下がる。葉はやや革質で枝先に群がって対生し、倒卵形または長楕円(ちょうだえん)形で長さ約30センチメートル、全縁で毛はない。短い葉柄と、長さ約1センチメートルの托葉(たくよう)がある。散房花序をつくり、数個の花を腋生(えきせい)する。花は白色または黄色を帯び、鐘形で先端は5裂し径4センチメートル、花筒は長さ約2センチメートル。果実は紡錘形の液果で長さ10センチメートル、径7センチメートル、黄褐色または緑褐色。果肉は褐色。約1センチメートルの種子が多数ある。果実は芳香があり、生食のほか、菓子、シロップ、果実酒とする。ゲニパッパダgenipapadaは清涼飲料としたもの。インディオは未熟果汁を染料(青色または黒色)とし、衣類、土器などを染め、また体に塗り、いれずみにも用いた。材は黄色または紅色で諸用具に、樹皮はタンニンを含み革なめしに、果実、葉、樹皮、根を消化系薬用とする。
[飯塚宗夫 2021年5月21日]