改訂新版 世界大百科事典 「チペワイアン族」の意味・わかりやすい解説
チペワイアン族 (チペワイアンぞく)
Chipewyan
カナダ北方のマッケンジー川から東方のハドソン湾にいたる北方針葉樹林帯に居住しているアメリカ・インディアン。文化領域はマッケンジー亜北極に属する。言語的には,ナ・デネ語の中のアサバスカ語として分類される。人口は18世紀初頭に3500人といわれたが,その後ヨーロッパ人がもたらした伝染病のため1000人にまで減少した。しかし,1904年にはカナダ・インディアン局の統計によると1800人にまで回復し,現在では約4000人。生業は冬季においては,ツンドラから群れをなして季節移動するカリブーの狩猟が重要なものとなるが,夏季においては湖沼での漁労が行われる。したがって,チペワイアンの生活はこれら食料資源を求めての季節的移住をともなう。出自は双系的であり,カリスマ的リーダーによる数家族の集合が見られるが,これらは季節的に離散を行う。動物の霊などを信じる超自然的な世界観をもち,シャマニズムが存在する。
執筆者:煎本 孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報