日本大百科全書(ニッポニカ) 「チューダー様式」の意味・わかりやすい解説
チューダー様式
ちゅーだーようしき
Tudor style
15世紀末から約1世紀続いたイギリスの建築様式。この名称は、ヘンリー7世からエリザベス1世までイギリスを支配したチューダー朝(1485~1603)に由来する。イギリス・ゴシック建築の後期の様式であるパーペンディキュラー(垂直式)に、イタリアやフランスのルネサンス建築の要素が加わった過渡的様式であり、次のエリザベス様式に続く。教会建築では、スパンのわりに張りの高さの小さい、四心尖塔(せんとう)アーチ(チューダー・アーチ)の使用が特徴で、代表的作品としてウィンザー宮のセント・ジョージ礼拝堂、ウェストミンスター寺院のヘンリー7世礼拝堂などがある。世俗建築では、ハンプトン・コート宮の大ホール、ケンブリッジのクイーンズ・カレッジなどがある。なお、木の骨組をれんがや漆食(しっくい)で埋めたハーフ・ティンバー式木造住宅もチューダー式とよばれる。
[篠塚二三男]