エリザベス様式(読み)えりざべすようしき(英語表記)Elizabethan style

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エリザベス様式」の意味・わかりやすい解説

エリザベス様式
えりざべすようしき
Elizabethan style

エリザベス1世の治政時代(1558~1603)に流行したイギリス建築様式チューダー様式とジェームス1世様式との間に挟まれた過渡的様式。依然としてゴシックの垂直構造を基本とし、チューダー様式の小塔や窓の多い外観を踏襲しながらも、細部装飾シンメトリー原理の行き渡ったファサード正面)などにイタリアおよびフランスのルネサンス様式の影響を示している。教会建築よりもむしろ城館を主とする世俗建築の分野で発展した。代表例としては、ノーサンプトンシャーのバーグレー・ハウス(1560~80ころ)やダービーシャーのハードウィック・ホール(1591~97)などがあげられる。

[篠塚二三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エリザベス様式」の意味・わかりやすい解説

エリザベス様式
エリザベスようしき
Elizabethan style

イギリスのエリザベス1世時代 (1558~1603) の建築様式。主として邸宅建築の様式で,中世風のホール (上段つきの広間) や垂直式ゴシックの大きな格子窓をもつ石造建築であるが,左右対称の平面立面,古典的なオーダーや皮細工装飾などの適用でルネサンス様式の影響を明白に示している。ロングリート (80~88) ,ウォラトン・ホール (80~88) などがその代表作。

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