チンワルド雲母(読み)ちんわるどうんも(英語表記)zinnwaldite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チンワルド雲母」の意味・わかりやすい解説

チンワルド雲母
ちんわるどうんも
zinnwaldite

雲母一種で、金(きん)雲母や白(しろ)雲母に似た外観をもつ。化学組成上シデロフィル雲母とポリリシオ雲母の系列にある。六角板状結晶で、しばしば肉眼的な累帯構造をもつが、これはリチウム含有量の変化といわれている。花崗(かこう)岩ペグマタイト中に、煙水晶トパーズなどと大きな結晶をなすほか、グライゼン中に微細な葉片状結晶集合体として産する。英名は、錫(すず)を産することで有名なボヘミアのチンワルトZinnwald(Zinnはドイツ語で錫)から命名された。

松原 聰]


チンワルド雲母(データノート)
ちんわるどうんもでーたのーと

チンワルド雲母
 英名    zinnwaldite
 化学式   K(Li,Al,Fe3+)3(Si,Al)4O10(F,OH)2
 少量成分  Mn2+
 結晶系   単斜
 硬度    2.5~3
 比重    2.8~3.0
 色     淡褐,淡灰,淡緑
 光沢    真珠
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チンワルド雲母」の意味・わかりやすい解説

チンワルド雲母
チンワルドうんも
zinnwaldite

リチウム雲母の一種。 K2(Fe1~2,Li2~3,Al2)(Si6~7Al2~1O20)(F3~2,(OH)1~2) 単斜晶系。比重 2.9~3.02。硬度 2.5~4。ガラス光沢。淡紫色,黄色,褐色,暗灰色など。六角板状結晶。ペグマタイトや深成熱水鉱脈中にスズ石,トパーズ,その他のリチウム鉱物などと共生して産出する。名称はドイツのチンワルド Zinnwaldのスズ鉱脈から発見されたことによる。

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