チン族(読み)チンぞく(英語表記)Chin

改訂新版 世界大百科事典 「チン族」の意味・わかりやすい解説

チン族 (チンぞく)
Chin

ミャンマーとインドとの国境に沿って南北に延びるアラカン山脈に住む少数民族。なかでもミャンマーのチン丘陵とインドのルシャイ丘陵とに多い。自称はゾー・ミ(山の人),ライ・ミ(中央の人)。インドではミ・ゾー,クキ,メイテイなどの名でよばれる。人口はミャンマーのチン州で37万,インドで82万,バングラデシュで3万5000。言語的にはチベット・ビルマ語派に属し,複雑な接頭辞の体系をもち,語順は主語-目的語-動詞である。父系制社会で,居住形態は夫方居住,相続も男子に限られる。おもな生計手段は農業で,わずかな水田耕作を除けば山腹での焼畑移動耕作を中心とし,主要作物はトウモロコシ陸稲雑穀,豆類など。住居は高床式で,集落は山上に形成される。宗教は大半が精霊崇拝で,死者納棺・埋葬し,墓石を立てる。洞窟起源説話,洪水神話,兄妹婚譚などを共有する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チン族」の意味・わかりやすい解説

チン族
チンぞく
Chin

ミャンマー北西部に住む一民族。人口約 120万と推定される。近隣ルシャイ族,ハカ族,クキ族と近縁関係にあり,言語はチベット=ビルマ語族に属する。父系出自集団を基礎とするいくつかのリニージによって地域社会を構成する。リニージ間の政治的関係は,母方交差いとこ婚に基づく規定的な縁組によって決定されることがある。焼畑耕作によって粟や稲などを栽培し,富と威信象徴である牛や,豚,やぎなどの家畜を飼う。

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