チベット=ビルマ語族(読み)チベット=ビルマごぞく(その他表記)Tibeto-Burman languages

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チベット=ビルマ語族」の意味・わかりやすい解説

チベット=ビルマ語族
チベット=ビルマごぞく
Tibeto-Burman languages

インドのカシミール地方から中国チベット自治区,青海,甘粛,四川雲南各省,およびヒマラヤからタイ,ミャンマー (旧ビルマ) の北部に分布する言語。この語族に含まれる言語の比較研究はまだ十分に成功しているとはいえず,その分類にも定説はないが,便宜上次の4つに分けられる。 (1) チベット語,ヒマラヤ諸語,ジャロン=ミシミ諸語などのチベット語群,(2) ビルマ語ロロ語モソ語 (ナシ語) ,西夏語,カチン語などのビルマ=ロロ語群,(3) インド,アッサム州のボド語やミャンマーのアンガーミ=ナーガ語などのボド=ナーガ語群,(4) ミャンマーのチン丘陵を中心とするチン諸語,それにクキ諸語,メイテイ語などのチン語群。類型的には,孤立語的であり,単音節語的で声調を有し,主語-目的語-動詞の語順をとることなどを一般的特徴とするが,これらの特徴が必ずしも全言語にみられるわけでもなく,歴史的にも古くさかのぼる特徴とはいえないところがある。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「チベット=ビルマ語族」の解説

チベット・ビルマ語族(チベット・ビルマごぞく)
Tibeto-Burman

一般にはシナ・チベット語族の一分枝としてチベット・ビルマ語派と呼ばれている。中国の青海省,甘粛省,四川省雲南省西蔵自治区ネパールシッキムブータンアッサム,ミャンマー北部,タイ北部,ラオス北部などにほぼ連続的に分布する。チベット語は7世紀から,ビルマ語は12世紀から,それぞれ独自の文字による記録を残す。西夏語,ロロ語,ナシ(納西)語なども独自の文字体系を持っていた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「チベット=ビルマ語族」の解説

チベット−ビルマ語族
チベット−ビルマごぞく
Tibeto-Burman

チベット・ビルマ・中国南西部・インドシナ半島北部に分布する言語族で,シナ−チベット語族の一派
広義には中国語・タイ語とともにシナ−チベット語族を形成する。歴史上の吐蕃 (とばん) ・南詔 (なんしよう) はこの語族で,またビルマ語族は7〜9世紀以降,チベット高原や中国の雲南方面からビルマの地に南下し,先住民のモン人を征服同化しつつ,ピュー・パガン・トゥングー・コンバウン(アラウンパヤー)の諸王朝をつくった。そのほかシャン族ロロ族などの山岳民も多い。

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