ドイツの有機化学者。ツィーグラーとも呼ばれる。チーグラー触媒と呼ばれるエチレン等の低圧での重合触媒を開発し,高分子工業の発展に大きな貢献をした。この業績により,1963年,ナッタGiulio Natta(1903-79)とともにノーベル化学賞を受けた。マールブルク大学を卒業後,同大学,フランクフルト大学,ハイデルベルク大学で講師を務め,1936年ハレ大学教授に就任した。43年から63年までカイザー・ウィルヘルム(その後マックス・プランクと改称)石炭研究所の所長を務めた。一貫して,有機金属化合物の研究を続け,多くの研究業績がある。1953年,トリエチルアルミニウムと四塩化チタンとからなる触媒を用いると,それまで困難とされていた低圧でのエチレンの重合が速やかに進行することを発見した。この結果,この方法によるポリエチレンの製造技術が急速に各国に普及した。また,この研究は,その後のナッタによる立体規則性重合の発見の先駆となったものである。
執筆者:菅 耕作
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ドイツの化学者.1920年マールブルク大学を卒業後,同大学,フランクフルト大学,ハイデルベルク大学の講師を経て,1936年ハレ大学の教授兼化学部長となる.1943~1969年ミュールハイムにあるカイザー・ウィルヘルム協会(現マックス・プランク協会)石炭研究所の所長を務める.初期の研究は,三価炭素ラジカルおよび多員環系化合物の合成に関するもので,1929年に有機リチウム化合物の研究をはじめ,その後石炭研究所では,有機アルミニウム化合物の合成と反応の研究に没頭し,今日の有機金属化学を支える先駆的業績を残した.1953年有機アルミニウムおよびチタン化合物の混合系触媒によるエテンの高重合で,常温・常圧で枝分れの少ない高密度ポリエチレンが得られることを発見した.今日,この触媒系はチーグラー触媒とよばれ,高密度ポリエチレンの工業的合成法に重要な位置を占めている.この功績により,1963年,G. Natta(ナッタ)とともに,ノーベル化学賞を受賞した.
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…エチレンから酸化エチレンをつくる銀触媒,プロピレンをアンモニアとともに酸化してアクリロニトリルを得るソハイオ法や,種々の選択酸化反応に使われるモリブデン‐ビスマス‐アンチモン‐鉄などの複合酸化物触媒,液相でp‐キシレンから臭化物を助触媒にテレフタル酸を合成する酢酸コバルト触媒など,枚挙にいとまがない。 ところで,第2次大戦後の最も画期的な触媒開発と考えられるのは,K.チーグラーとナッタGuilio Natta(1903‐79)による,立体規則的オレフィン重合反応であろう。これにより立体規則性ポリプロピレンがつくられ,広い用途に使われるようになった(〈チーグラー触媒〉の項参照)。…
※「チーグラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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