日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリエチルアルミニウム」の意味・わかりやすい解説
トリエチルアルミニウム
とりえちるあるみにうむ
triethylaluminium
有機アルミニウム化合物の一つ。アルミニウム、エチレンおよび水素から合成する。酸化されやすく、空気中では自然発火する。水とは爆発的に反応する。したがって不活性ガス中に貯蔵する。ヘキサン、トルエンなどの炭化水素溶媒に可溶であり、炭化水素溶液にすると発火を抑えることができ、取り扱いやすくなる。
重合触媒として重要で、ツィーグラー型触媒としてトリエチルアルミニウム単独でエチレンの重合によりポリエチレンを製造するのに用いられていたが、その後、塩化チタンとトリエチルアルミニウムとを組み合わせたツィーグラー‐ナッタ触媒(TiCl4/MgO-Al(C2H5)3など)がポリエチレン製造触媒の主流になった。ロケットエンジンの添加剤・高性能燃料の成分として用いられている。
[佐藤武雄・廣田 穰]