ツルボ(読み)つるぼ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツルボ」の意味・わかりやすい解説

ツルボ
つるぼ / 蔓穂
[学] Barnardia japonica (Thunb.) Schult. & Schult.f.
Scilla scilloides (Lindl.) Druce

ユリ科(APG分類:キジカクシ科)の多年草。染色体はA、Bと異なるゲノムの組合せからなる同質および異質倍数体からなる複合種で、外部形態もきわめて変異に富む。鱗茎(りんけい)は卵球形または楕円(だえん)状球形で黒褐色の外皮に包まれる。葉は春先と開花期の7月以後、二度地上に展開するが、倒披針(とうひしん)状線形、上面はへこみ、軟質で厚い。花期には葉を伴わないこともある。花茎は直立し、高さ30~50センチメートル、総状花序に淡紫色花を上向きに多数つける。北海道南西部、本州から沖縄の日当りのよい原野や道端に生育し、朝鮮半島から中国に分布する。

河野昭一 2019年3月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツルボ」の意味・わかりやすい解説

ツルボ
Scilla chinensis; squill

クサスギカズラ科の多年草。スルボまたはサンダイガサともいう。アジア東部の温帯から亜熱帯に分布し,日本でも各地の草地などに自生している。鱗茎は卵球形で,外皮は黒褐色をなし,下部には短い根茎があり,多数のひげ根を束生する。倒披針形の葉が年 2回春と秋に出て,春のものは夏に枯れる。初秋に,1本の長い花茎を直立し,上部に総状花序をなして淡紫色の小花を多数つける。別名のサンダイガサは花穂の形が,昔公卿が宮中に参内する際に供人が差し掛けた長柄の傘をたたんだのに似ていることによるという。

ツルボ
Turbo, Quintus Marcius

1~2世紀のローマ将軍,政治家。ダルマチアの出身。百人隊長 (→ケンツリア ) より累進して,114年ミセヌムの艦隊司令官に就任。 116/7年のエジプトキュレネにおけるユダヤ人の反乱に際しては,トラヤヌス帝の信頼を受けて鎮定におもむいた。マウレタニア総督を経て,ハドリアヌス帝の治下ではダキア,パンノニア総督,さらに近衛長官に昇進。しかしハドリアヌスの晩年に嫌疑を受け解任された。

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