ツワナ(読み)つわな(英語表記)Tswana

翻訳|Tswana

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツワナ」の意味・わかりやすい解説

ツワナ
つわな
Tswana

ボツワナおよび南アフリカ共和国の一部に住むバントゥー系農耕民。牛放も営む。民族集団ソトの西方グループを構成し、人口はボツワナに約105万(1994)、南アフリカ共和国に270万以上といわれる。ツワナは現在、非常に政治体制の異なる二つの国に分かれて住んでいるが、伝統的には中央集権的政府をもったことはなく、約80の大小さまざまな首長国に分かれている。各首長国の中心には首都があり、その周囲には牧草地と耕地に囲まれた村落がある。村落はいくつかの区から構成され、これがツワナの社会生活のもっとも重要な単位となっている。区の中心をなすのは父系的につながりのあるいくつかの大家族で、このうち上位の家族が区長を出す。区のなかには親族関係のない家族も多数含まれているが、これらの人々にも親族の用語と関係が適用されている。区の居住地は普通円形で、屋敷群が環状に並び、中心部には共同の牛舎と集会場がある。区長は評議会や助言者とともに区内部の業務を処理し、紛争を解決すると同時に首長諮問会議にも列席する。ツワナは父方・母方を問わず「いとこ婚」を好むので、父方親族と母方親族は重なり合い、はっきり区別されていない。しかし、財産地位は父系的に継承されるので、近い男系親族間には競争葛藤(かっとう)が生じやすい。こうした競争と葛藤を友好支援に変えるのがいとこ婚なのである。また、かつては男女ともに4~7年ごとに形成される年齢集団に加入していたが、現在ではさまざまな任意団体にとってかわられている。

加藤 泰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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