てある(読み)テアル

デジタル大辞泉 「てある」の意味・読み・例文・類語

て‐あ・る

[連語]接続助詞「て」に補助動詞「ある」の付いたもの》
動作作用結果が続いていることを表す。「戸が開け―・る」
動作・作用が存続中であることを表す。…ている。
「久しく雨ふり―・るか」〈四河入海・一〉
過去の動作・経験を表す。
「楚の将子反に、まみえ―・った」〈蒙求抄・九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「てある」の意味・読み・例文・類語

て‐あ・る

  1. 〘 連語 〙 ( 接続助詞「て」に補助動詞「ある」の付いたもの )
  2. 動作・作用が、存続、または繰返し進行中であることを表わす。…ている。
    1. [初出の実例]「此間、久く雨ふりてあるか」(出典:四河入海(17C前)一)
    2. 「其を古へより大和心とも、大和魂とも申してある」(出典:古道大意(1813)上)
  3. 動作・作用の完了した状態が存続していることを表わす。
    1. (イ) 自動詞に付く場合。
      1. [初出の実例]「土佐守に成て其国に下て有ける程に、任畢(をはれ)り」(出典:今昔物語集(1120頃か)二四)
      2. 「源平両家位を争て、天下二つになりてあるぞ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)下)
      3. 「欄間に懸(かかっ)てある鎗をはづし」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一三)
    2. (ロ) 他動詞に付く場合。
      1. [初出の実例]「次ぎに風呂に湯も立ててある」(出典:歌舞伎・傾城江戸桜(1698)中)
      2. 「此方は何も確い約束がして有るんでないから」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  4. 過去の動作・経験を表わす。
    1. [初出の実例]「華元が夜るひそかに城を出、楚の将子反に、まみへてあった」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)九)

てあるの語誌

( 1 )「て」と「あり」との結び付きは、上代からあったが、その「あり」には、存在の本義が認められる。後に「あり」は補助動詞としての性格を強め、「てある」が動作・作用の存続の状態を表わす言い方として用いられるようになった。
( 2 )近世後期の江戸語あたりからは、「衣が干してある」のように、他動詞の表わす動作・作用の目的物を主語とする(ロ)の場合に限られるようになり、その他の場合は、現代標準語としては「ている」に代わられている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android